第76話 添い寝!?

目が覚めた……

どうやら、いつの間にか眠っちゃったみたいだ

体を起こし、窓の外を見る

今日はいい天気になりそうだ


昨夜の事を思い出す……と恥ずかしさで死にたくなるから、今は思い出すのをやめておこう……そうしよう


掛布団を剥がしベッドから出ようとして、ようやく違和感に気がつく……

自分一人分にして温かすぎる……?

掛布団の膨らみ的に……もう一人、いる?

いやいやいや!そんな筈は……

落ち着け……落ち着いて昨夜の事を思い出すんだ……!


えっと…確か…夜中に南城さんが来て

俺が名前持ちを避けている理由について話して……


その後、どうしたっけ……?

記憶が曖昧だ……


と、とりあえずそーっと掛布団を剥がしてみるか……



掛布団から出てきたのは……



















妹だった……⁉

なんでお前がいるんだよ⁉

え?あれ?ほんとなんでいるの⁉


妹「う……ん?おにー?なんで?」

それは俺のセリフだよ⁉

ここ俺の部屋だろ⁉


妹「あ、夢かぁ……ふふ、ならいっかぁ……ぎゅ~~~~~~~」

俺を抱きしめて顔を埋めてきた……

何してんだよ


俺「おい、起きろよ」

ゆさゆさ揺する


妹「うん……むぅ……すぅすぅすぅ」

起きねぇ……


俺「起きろって!」


妹「んふふ……」

イラッ……

こいつ……


俺「起きないと殴るぞ?」

拳を握り、振り上げる


妹「……⁉おにー、おはよ!」

やっぱり途中から起きてやがったな!


俺「お前何してんの?」


妹「護衛?」

護衛?


俺「何から?」


妹「千秋先輩からだよ!」

南城さんから?


俺「は?」


妹「昨日の夜いつの間にか千秋先輩居なくなってて、おにーの部屋から話し声聞こえたから覗いてみたら、二人が抱き合ってるから……」

抱き合って……って何言ってんだよ⁉

そんな事……ってあれか⁉


妹「おにーが危ないって思ったから勢いよく部屋入ったら、千秋先輩が驚いておにーを突き飛ばしちゃって!おにーはそのまま意識なくなっちゃうし、千秋先輩は何してたのか話してくれないし!だから千秋先輩がおにーにおかしな事しないように護ってたの!」

早口に捲し立てるような言い訳の内容を考える

つまり、俺は南城さんの優しさに甘えていた所を目撃されて

南城さんの手で気絶させられて

その後妹がずっと一緒にいた、と


そうか


俺「妹よ、一ついいか?」


妹「なに?」


俺「護ってくれるのはありがたいが、お前まで一緒に寝落ちてたら意味無くねーか?」


妹「そんなの、眠かったんだもん!しかたないじゃん!」

開き直りやがった……


俺「そうか……寝るなら自分の部屋で寝ろよ」


妹「そしたら魔の手から守れないじゃん!」


俺「大丈夫だよ。それより、そろそろ離してくれないか?」

未だ俺にしがみ付いて離れない妹を引きはがそうとする

くっ、抵抗するなよ!


妹「やだ!」


俺「離せって!」


妹「やだ!」


俺「離せってば!!」

何とか引き剥がそうとする

しかし、中々離れない⁉

もう少し力を込めて……そりゃ!


ブチン!

と何かが切れる音が響く


妹「あ!」

パジャマのボタンが一つ取れたみたいだ

ったく、無駄に抵抗するからだろ


俺「離れろって」

さっきよりも、しがみ付く腕には力が入ってる⁉

なぜだ⁉


妹「ダメ!」


俺「離れろって!」

今度はボタンが取れないように手首を掴む

力比べだ!!


妹「だめぇ!!」

全体重をかけて必死に体にしがみつこうとする妹


兄妹の攻防が繰り広げられる最中、部屋に南城さんが入ってきた


南城「おはよー!……え?」


俺「お、おはよう」

妹の手首を握って力比べをしている俺と、必死に抵抗する妹を目撃した南城さんは……


南城「えっと、やっぱりシスコン?昨日の夜って何だったんだろ……私も頑張ったのに……」


俺「南城さん⁉どうしたの⁉ていうか黄昏てないで、コイツ剥がすの手伝って!」


南城「え?剥がす……の?本当に?」

そうだよ!

いい加減暑いんだよな


俺「そう!」


南城「君の性癖がどんなだろうと……私は受け止めてみせるよ!」

なんでここで性癖の話⁉


南城「ごめんね、妹ちゃん?……えい!!」

こともあろうに南城さんは妹のパジャマを脱がした⁉⁉

妹の手首を掴んでいた俺は万歳の様に手を上げている

そして妹も万歳の状態だが、上半身は下着一枚……


妹「え……⁉」

俺「は……?」


南城「よし!それで次はどうする?下も剥いちゃう?」

ちょっと興奮気味な問いかけに若干……ドン引く

脱がす気満々だ……


俺「いや、妹自体を引き剥がして欲しかったんだけど!?」


妹「ぐす……」

涙を浮かべる妹


南城「え?あれ?朝から凄いプレイするなぁって思ってたけど」

プレイ言うな!


南城「違った?」


俺「違うよ⁉そんな訳ないだろ!!」

我慢の限界を迎えた妹は走って自室へ帰っていった


南城「えへへ……勘違いしちゃった♪」

テヘペロってか⁉


俺「南城さんてさ……」


南城「ん?」


俺「実はすっごく」


南城「すっごく?」


俺「エロい人?」


南城「……」

目をぱちぱちさせて言われた内容を理解できないことを表す


俺「痴女……変態……露出狂……」


南城「違うよ⁉なんでそんな事言うの⁉ちょーっと勘違いしただけだよ⁉」

どこをどう勘違いしたら、妹の服を脱がせって頼む兄がいるんだよ……


俺「南城さんの中の俺って、どんな屑野郎なんだよ……」


南城「そんな事思ってないよ⁉えっと、その、あ!そうだ!妹ちゃんの様子見てくるね!それじゃ!」

俺の部屋から出て行く南城さん





はぁ……なんで朝一からこんな疲れなきゃならないんだよ……


朝食の時、妹は顔を真っ赤にしたまま一言も口をきいてくれなかった

やれやれ……どうやって慰めたらいいかなぁ……





黙々と朝飯を食べていると

ピンポーンとチャイムの音が鳴り来客を告げた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る