第56話 深まる疑惑

俺「俺がシスコンな訳ないだろ⁉」

むしろ理想萌える人は近所の知的なお姉さんだよ!!

そんな人いないけどさ……


堀北「そうなの?」

なんでそう思うの⁉


俺「そうだよ⁉」

妹に菓子作ってあげただけでシスコンって

ヒドイ言い掛かりだと思うんだが?


堀北「でも……これってアレにしか見えないんだけど」

アレって何⁉

そんな変な模様描いてないよ⁉

描いたのは青海波っていう伝統模様で……

ん?

もしかして、俺が知らないだけで青海波にはそんな意味が……⁉


妹「おにー……コレ何描いたの?」


俺「ん?青海波だが?」

と、いうかいつもの呼び方になってるぞ?

いいのか?


妹「せいがいは?」


堀北「なるほどね」


南城「え?ハートじゃないの⁉」

ハァ⁉ハート⁉


俺「違うよ⁉」

なんでハート⁉


堀北「えっと、青海波っていうのは和柄で海を現した幾何学模様の一種よ」

流石堀北さん!


南城「ワラガ?キガカク?」


堀北「和柄よ、日本の柄」


南城「ああ!そういう意味ね!」


妹「幾何学模様は決まった形を繰り返すパターン模様の事ですよ」


南城「妹ちゃん詳しいね!」


妹「常識です。なんで変な言葉は知ってるのに……」


南城「変な言葉?」


妹「なんでもないです」


俺「と、いう訳で俺はシスコンではなくてだな」


堀北「でも、何で青海波にしたのかしら」

何でって、一番簡単そうに見えたからなんだけど


堀北「この柄ってね。何処までも広い海を表現してるのよ」


妹「はい?そう、ですね。それが」


堀北「転じて、未来永劫の願いって意味もあってね。幸せが続いて欲しいって願いが込められてるのよ」


妹「未来永劫の幸せ……」


南城「やっぱりシスコン?」


堀北「過保護なのは確かよね」


俺「え⁉そんな意味あったの⁉柄に意味があるなんて初めて知ったよ⁉」


南城「またまた~」

何が⁉


俺「違っ!ホントに意味知らなくて」


南城「う~ん……アプローチ方法変えないとダメかなぁ」

何言ってんの⁉


堀北「もしかしたら、妹ちゃんの制服はアリかもしれないわ……」

真剣な表情で何言ってんの⁉⁉


南城「うん。妹ちゃん、制服貸してほしいんだけど」


妹「だ、ダメです!!」

そうだ!拒否するんだ!


妹「おにーの妹は私だけです!」

そ、そうだが……

別の言葉はなかったのか?


南城「う~~ん……じゃあ、彼の写真あげるから一日貸して?」

おいぃいいぃ⁉⁉

いつそんなの撮ったの⁉

俺知らないんだけど⁉⁉


妹「うっ……じ、現物を見てみないと何とも言えません」

現物オレならいつも見てるだろ⁉直接!!

何で写真如きで揺れてるんだよ⁉


南城「う~ん、今日は持ってないから……明日、持ってくるよ」

ほんとに持ってるの⁉

怖っ!!


妹「いいでしょう。もし良い写真があればですけど」

なにが“いいでしょう”だよ⁉

何もよくねぇーよ⁉


南城「やった!約束だよ?明日はとっておきの一枚持ってこないと」

とっておきの一枚って何⁉

何枚持ってんの⁉


堀北「千秋?写真なんていつ撮ったの?」

ほ、堀北さんは盗撮してないんだ……よかった……


南城「え?いつもだよ?隙あらばパシャ!って」

いつも⁉

隙あらばってどういう事⁉

マジで怖いんだけど⁉


堀北「そう……」

堀北さん!

俺の代わりに怒って!

きっと俺が言っても無駄だから……


堀北「後で見せてくれるかしら?」

えーーーーーーーーー⁉⁉

け、検閲だよね⁉

自分も欲しいとか言わないよね⁉


南城「いいよ~」

よくないよ~⁉


堀北「……足りるかしら」

何が⁉

今現状、良心が足りてないんだけど⁉

誰か持ってませんかぁ⁉


俺「もちろん俺にも見せてくれるよね?南城さん?」


南城「何がモチロンなのか分からないけど、見せられないよ?」

まさかの被写体は閲覧禁止⁉


俺「何で⁉」


南城「それは……恥ずかしいし///」

恥ずかしい以上のことやらかしてるでしょ⁉


俺「盗撮とか、怖いからヤメテほしいんだけど」


南城「なんで⁉厳重に保管してるし、怖いことなんてないよ⁉」

むしろ、厳重に保管してる事実の方が怖いよ!!


俺「いや、盗撮自体が怖いから」


南城「そうなの?」

なんでそこで妹に聞く!!

俺が怖いって言ってるんだけど⁉


妹「ちゃんと管理できてるなら問題ないです。あ、でも新しく撮ったら私にも見せてください。確認します」

問題大ありだよ⁉

しかも、さり気なく新しく撮るの許可すんなよ⁉


南城「え~」


妹「制服」


南城「わかったよぅ、しかたないなぁ」

今後は南城さんと堀北さん、それと二人の親衛隊ファンクラブ、さらに盗撮にまで警戒しなきゃいけないのか⁉

外出るの怖くてしかたないんだけど……⁉


妹「今後は家で過ごす写真と交換も」


南城「家で過ごす……」


妹「はい。例えばこんな感じです」

スマホの画面を南城さんに見せる

俺には見えないんだけど⁉


南城「コレって……⁉」


堀北「私、コレ欲しいわ……いくら?」

イクラ?魚卵かな?

……そんなわけないよね

直ぐに値段の確認って堀北さんはどうしちゃったの⁉


妹「売りませんよ?交換です。この画像が欲しいなら、それ相応の対価を用意してください」

それ相応の対価ってなに⁉

妹よ、お前はドコへ向かっているんだ……

兄さん、心配だよ

もう勉強がどうのこうの言わないから、ゆっくり話し合おう、な?


堀北「対価は金銭以外なのね?」


妹「はい」


堀北「わかったわ。必ず用意する、してみせるわ」

しないで!!

そんな不穏はやり取りはヤメテ!!


南城「う~ん……あの画像なら、とっておきの中でも上位のやつじゃないとダメかな……」

ホント何が映ってたの⁉

後で無理矢理にでも見ないとダメかな⁉


俺「妹よ」


妹「なに?」


俺「お説教追加な」


妹「え~⁉⁉なんで私だけ⁉千秋先輩だって、撮ってたんだし」


俺「黙らっしゃい!!家族会議に掛けないだけマシだろ」


南城「やっぱり甘い?」


堀北「ええ、お説教だけって優しいわね」


俺「あと、南城さん」


南城「なにかな?」


俺「もし今後盗撮したら、したら……えっと……会話禁止だから」


南城「き、禁止……⁉一日ずっと⁉」


俺「三日!三日間会話禁止!話しかけないでね!」

うん、これくらい厳しくしないとヤメテくれないだろうし


南城「そんなぁ……あ、でも……連休前なら撮れるかな……」

いや、ダメだから!


俺「あと、堀北さん」


堀北「なにかしら?私は盗撮なんてしてないわよ?」


俺「南城さんが盗撮してるの分かったら報告してね」


堀北「でも、気付かないかもしれないわよ?」


俺「その時は……堀北さんも会話禁止ね、同罪だよ」


堀北「それはいくら何でも横暴よ⁉」


俺「なら、盗撮させなきゃいいんだよ。南城さんを監視してね」


堀北「千秋、絶対バレちゃダメよ?」


南城「うん!気を付けるよ!」


俺「妹よ」


妹「お説教でしょ?」


二人に甘いと言われたので追加制裁決定!

俺「次もし俺の事撮ったら今度こそ家族会議な」


妹「えーーー⁉」


俺「盗撮は犯罪!例え対象が俺であろうと、許しません!」


妹「千秋先輩、春香先輩」


堀北「何かしら?」

南城「何?何?」


妹「お互いに絶対にバレないようにしましょう!」


堀北「そうね」


南城「任せて!これまでもバレてないんだもん!」



くっ……なんか余計に三人が団結したように見えるな……

どうしたもんかなぁ


というか、何で妹は俺の写真なんて撮ってたんだ?

しかも隠し撮りって……

俺の弱みを握って強請るつもり、とか?

いや、妹に限ってそんなことしないよな?

兄を強請る妹とか絶対に嫌だなぁ……

不安になってきた……



はぁ~~~~……

これはもう心を鬼にして、しっかり怒らないとダメかなぁ

苦手なんだよなぁ、そういうの……

でも、ここで許すのは今後のためにならないよな


よし……少し厳しめに叱るか

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