12

 これはある休日の一幕である。今日は家に備えてあった物品が少なくなってきていて来週までの一週間持つか、僕の中でも怪しいところだったので買いに行こうと思った。しかし外に出るということはそれだけ彼女と出会う可能性があるということであって、出来るだけ短い時間で済ませて帰ってきたいところである。家から近くのスーパーマーケットまで徒歩でおよそ5分、店内の配置はほぼ頭に入っているので買うものを確実に決めて他のところに目をくれずに進んでいけば20分もあれば帰って来れるところである。なので今買わなくてはならないもの、そしてわざわざ何度も出掛ける必要がなくなるように購入するもののリストを作った。そこにはその商品がどこにあるかについても明記し、家を出てから帰ってくるまでの計画を緻密に立てた。一回計画を作っても本当にそれで大丈夫なのか、彼女と顔を会わせる可能性を極限まで下げられるものなのかと何度も何度も反芻して改善を繰り返した。そしてこれが最も妥当な計画であると僕の中で判断がついたあとにそれを反芻して頭に叩き込んだ。こういった一連の流れは外出する週末に毎回行われることであってそれを怠ると今後の人生が思いやられ、彼女との接触を今後一生避けるためには今の段階では必要不可欠なのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る