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 何とか彼女が家の目の前にいるところから逃げ、時間としては通常のときとは変わらなく通勤ということに至った。朝から気持ち的に押されていて通勤ということが一日の中で最も気持ちが重く、重要な時間だった。駅まで歩いていくときにもちらりちらりと後ろを何度も確認して歩いていった。僕が後ろを確認したのは一分おきくらいで端から見ると完璧に後ろを常時気にする不思議な人、というようにしか見えないだろうがそれでも周りの視線よりも重要なのでそうせざるを得なかった。

 駅まで歩いている間に彼女に追われているということはなく、駅に着いて電車に乗ることができた。さすがにここまで来て現れるということはないと思って胸を撫で下ろした。最寄り駅から数駅して大きい駅に着いて車内が空き、目の前の席が座れる状態になり、僕はその席に座った。そして携帯電話を操作し始めた。その間に電車は駅を出発して進み始めた。しばらく携帯をいじったままだったため気付いたときには二駅近く過ぎていた。視線を携帯から正面に移したときに見たことがある顔が飛び込んできた。そう、僕に付きまとってくる彼女である。僕の中では家の前で撒いたはずなのだがここにいるとなると…、考えている様子が彼女にも分かったようで

「どこにいるかくらいわかるよ、最近は機械がハイテクになったんだから。」

ということを言われた。その言葉から僕は察した、携帯電話のGPSを使って場所を特定したのだと。まさかここまでしてまで僕のことを追ってくるとは脅威である。今後の対策を考え直さないといけなさそうだ。しかも地方に行ってもこれだと気付かれてしまう。やはり、手はないのだろうか。

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