幼女戦記
感想
アニメ化の際に「あの問題作が」みたいないい方をされていた幼女戦記です。
まぁね、幼女主人公でかなりどぎつい内容でしたからその言われ方も納得のいくものでした。
とはいえ私がまだ手を出していなかったジャンル、いわゆる戦記物です。
転生と戦記をどう組み合わせるのかという点からワクワクしながら原作小説や漫画を購入して「なんだこれ、すっげぇ面白れぇ! 」となりアニメを楽しみにしていたのです。
あらすじはこれでもかと言うほど合理主義な主人公が社員にクビを宣告するシーンから始まります。
そしてその社員から逆恨みされ、線路に突き落とされて死亡してしまうという始まり方。
すると神様に出会うのですが、ここからが普通の転生ものと違うところ。
よくある転生では徳が高いという理由や、神様の手違いでという理由が使われるのですがなんとこの神様はその逆。
なぜか身を崇めず(ゲームや小説の中でではあるが)他人を傷つけるのか、貴様らの信仰心はどうなっているのだとたいそうお怒りの様子。
結果紆余曲折を経て主人公は「神を信仰するように恵まれない環境に放り込んでやる」と言う理由から転生し、幼女となりました。
転生先の世界は魔法があり、そして戦乱真っただ中。
おそらくは第二次世界大戦の時代を想像してもらえるとわかりやすいかもしれませんね。
飛行機が存在して、空爆やらなんやらがある世界。
でも人も生身で(装備はあるけれど)飛行する世界。
そんな世界で主人公ターニャが奮闘する話です。
さて、まず初見の感想。
「あれ? なんか絵のイメージが違う……」
アニメ版と原作ならびにコミカライズ版の画像を見比べていただくとわかるのですがだいぶ絵が違います。
理由はアニメとして動かしやすい絵かそうでないかという違いでしょう。
漫画版や原作小説の絵は美麗でしたが、アニメとして動かしにくい絵だったのだと考察しています。
それは重々承知している物のデフォルメが少し行き過ぎているといいますか、眼が大きくて等身が低いので慣れるまで少し時間がかかりました。
しかし戦争の描き方が、残酷なまでにリアルであり如何に理不尽な世界なのかと言う点がしっかり描かれている。
これは私が今まで見た中でも珍しい物でした。
ギャグもしっかりと書かれていたので見ていて疲れることなく楽しめたのもポイントですね。
個人的にお気に入りなのはターニャが大隊を編成するという話になった際に新人魔導士が募集に応じるのですが、最初の試験に脱落して飛行場に送り返されて思わずかばんを取り落とすシーン。
テンポが良く思わず吹き出しました。
また事あるごとに心理描写として「やっべぇやらかした」「なんでこうなるんだ!」といった心の叫びが入る瞬間がありますがそのほとんどが笑いを誘う物。
本人の意図しないところでアンタッチャブルが発生しているという現象。
主人公を危険視している人物こそがターニャが一番なついているように見えるという不思議な状況。
かみ合わないはずの歯車が、ずれすぎてかっちりとはまってしまったような話の展開は実に見事でした。
というわけで総評に移りたいと思います。
作品全体を通して描くべき部分をしっかり描けていたと思いました。
ただしデフォルメの効きすぎた絵で原作の重苦しい、コーヒーのような苦々しい空気が緩和されてしまっていたのが残念なところ。
ほとんど満点なんだけどあと一歩ください! と言う事で4点です。
評価:☆☆☆☆
ちなみに売国機関という漫画が同志カルロ・ゼン先生原作で発売されてますがこれも素敵です、大好きです。
セブンスドラゴンⅢのノベライズもありますが、個人的には作品も作者も大好きですがこれはあまり会わなかったというのが本音でした。
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