第32話「宣告」

「あ、おーい!クロ先輩、久瀬先輩!」

「…ん。おう、春野」

「……」

「あれー二人が休みの日に一緒なの珍しいですね。どこ行ってたんですか?」

「ちょっとな」

「偶然会っただけだ」

「……なんか変。どうかしました?」

「「別に」」

「ハモった!いよいよおかしい…」

「そんなことよりお前今日妙にしゃれた格好してるな」

「えへへー、分かります?今日実は柳田君とデートだったんですよ!」

「へー」

「興味ないなら聞かないで欲しい...。まあいいや。万引き捕まえたお礼に色々連れてってくれて、ほら私この町そんなに詳しくないでしょ?それから、美味しいハンバーガーをごちそうしてくれて…」

「ふーん」

「あ、もしかして、二人に内緒でデートに行ったこと怒ってるんですか?えー!だってそんなん言ったら絶対尾行するとか言い始めるじゃん!」

「は。尾行?さすがにしねぇだろ。こう見えて俺達は基本的にお前の幸せ願ってるわけだから」

「大体俺達はそんな暇じゃねェんだよ。こっちは来週テスト控えてんだぞ」

「急にブイブイしゃべりだした……。てかテスト控えてるのは私も同じなんですけど」

「じゃあ恋に浮ついてねぇで勉強でもしたらどうだ。学生の本分は勉学だし、もしあれだったら学年主席の俺自ら教鞭を取ってもいい。だろ?な。どうだ春野」

「柳田君とやるんで大丈夫です」

「いや俺に教われっつってんだろうが!!!!」

「急にキレた!情緒意味わかんないんですけど!」

「春野」

「クロ先輩これ一体」


「柳田のことは、もう諦めろ」

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