フォワード君がインタビューを受ける話
こんにちは。僕の名前は半田 英音(なかた ひでおと)ハンダではなくナカタと読みます。あ、ご存知でしたか?そうですか、僕のインタビューに来たのだから当然ですよね。本日は宜しくお願いします。
今回は日本代表の心構えについてでしたっけ?貴女の様なお綺麗な方がインタビュアーで光栄です♪
そうですね、代表で同じと言っても普段は別のチームでプレイしていますので、連携が難しい部分がありますね。
それも新鮮で面白い所です。ふふ、何事も楽しまないといけませんよね?
仲の良い選手?う~ん、仲の悪い選手が居ないので難しいな。逆に誰のエピソードに興味がありますか?
取材嫌いなタイプ。無口な…例えば猪狩君とか?彼、サッカー以外の話題には乗らないでしょう?硬派ですよね。
ええ、そうですよ。同じ日本代表ですから、移動中や宿舎でも練習場でも、コミュニケーションは取りますよ。サッカーの話もしますけど、それよりもくだらない話が大半です。
僕らもごく普通の男子高校生ですから、まぁ色々と。でも猪狩君は自分の話はあまりしてくれないかな。
守りが堅いと言うか…僕、実は彼からゴールを奪えた事が無いんですよ。代表戦なら彼の居城に攻め込む事はありませんがね。
同じ世代なのが嬉しいやら悲しいやら…複雑な限りです。直接戦えるのは喜ばしい事なのでしょうね。僕の得点圏内に彼が居るのですから。
あぁ、そうだ。記者さんなら猪狩君の事も、僕の事も頭に入ってますよね?
アドバイス、頂けませんかね?何でも良いんですよ、貴女の気付きを知りたいな…
僕には何が足りないのかな?教えてください、貴女の感じた事を。
本当に…入れて当然のPKですら彼には止められましたからね。
ご存知です?去年の春、全国への切符を賭けた地区予選大会の決勝で彼のチームと当たった時。試合は圧倒的に僕達が押していたんです。
正確には覚えていませんが、シュート本数は楽に15本は越えていたと思いますよ。
なのに…!それなのに……あの日、彼からはただの1点も取れませんでした。
僕がそれまでの試合であげた得点は13得点!その大会の得点王だったんです。
最終的にはPK戦になって、彼自身にPKを決められて終わりですよ。
相手ゴールキーパーがキッカーで終了なんて信じられます?
代表入りして彼自身にその時の話を聞いてみたんですがね、PK戦で僕のチームのキーパーを眺めているうちに癖が掴めたとかでね、蹴ったら入ったそうですよ。まったく、脱帽しました。
実際帽子を被ってるのはキーパーの猪狩君ですが。
インタビューの時間内では足りないのであれば、この後でもお時間頂きたいですね。
勿論僕は構いませんよ。貴女のお時間、頂戴できれば光栄の至りです。
お願いしますよ、じっくりと、ね。
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