小学生からやり直したい──そう、思ったことは?多分ありますよね?

ブルーブロッコリー

第1話「ふと思ったこと」


 時刻は20:24。


 中学1年から通う、徒歩10分、駅前の塾での授業中。


 2対1の授業で、先生がもう一人に教える間にやっておくように言われた問題が終ったところで左を見ると、先生はまだもう一人の生徒に解き方を教えている所だった。


 少しの間ひまになりそうだったので、視線を前の仕切り板に向けて、ボーとする。



 そんな時、ふと思った、願望とも括れない思い付き。


(あー…小学生からやり直せたら、今習っている所を完璧に習得できるのに。)


 小学校高学年の時に買ってもらったスマホで見る小説サイトでは、良くランキングに載るありふれた題材。


 一度思えば、妄想は無限に広がっていく。


(そもそも、それだけ時間があれば他にもできる。小説も、今考えてるだけのやつを投稿できるだけの時間がある。)

(それに、そうなったら勉強でも有利だし、……彼女……………いや、それは無いな。)

(そもそも、丸刈り以外に似合う髪型がないTheお坊さんみたいな顔だから………彼女なんて……ないない、あり得ない。)


 そんな妄想を脳内で捏ねくり回していると、左から「ごめん、待った?」と、申し訳なさそうな声。


 いつも通り「いえ、大丈夫です。」と返して、残り時間が20分になった授業に集中することにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る