第40話 装備に懐疑的な女隊長

{ ヴァージニア・ヴァイオレット・ヴィーナスの、マルチナ・シュニーヴ隊長

・・・管制塔内の会議室までお越しください。 繰り返します・・・ }

空母の艦内放送だった。


「何かしら? 打ち合わせなんて、とっくに済んでるのに・・・」

隊長が会議室へ赴くと、ソロモン艦長とオブライエンCEOが待っていた。

「艦長、何かあったんでしょうか?」

「実は・・・今回使用する装備に変更の申し入れががあった。」

「は??」

「変更する装備の項目をお伝えします。みなさんの機体に搭載していただくのは、

こちらで用意させていただいた新型EMPミサイル、 ・・・“HEMP”です。」

「変更の理由は何なのでしょうか?」

「そちらで用意していただいた装備ですが・・・   やはり、FIRE-BEANSの

弾頭は認可できない、というお知らせです。」

「詳しい理由を聞かせていただけますか?」

「あれはですね・・・威力がありすぎるんです。下手をすると、島ごと消失・・

なんて事態になりかねませんので。その件が元で、国際問題に発展してしまうのは

あなたも本意ではないはずです。」

「・・・・・・」

「もうひとつ・・・こちらで調査させていただきました。  そちらで御用意の

FIRE-BEANS弾頭ですが・・・購入の際、随分と吹っかけられませんでしたか?」

「えっ・・・?」

「その業者との間には、あと二人も中間の・・・ まあ、ブローカーみたいなのが

介入していたようですね。その中に、テロ組織と取引していた業者がいまして・・

できれば、こういった繋がりは今のうちに断ち切っておくべきと思いますよ。」

「早いうちに気付いて良かった。名門シュニーヴ家が悪徳業者にタカられるなんて

絶対にあってはならない事だろう? だから、この件はここだけの話って事だ。」

「全く関与してませんでした・・・ 以後、管理を徹底します・・・」

そう返答するのがやっとの女隊長だった。


装備の交換作業を、控え室からただ眺めている隊長。

「元気出しなさいよー、マルチナ!」

と、声をかけて来たのは、担当監査官の女性。 

濃いサングラス(?)を着用していた。

「リサ・・・目の具合、どうなの? 大丈夫?」

「それがね・・・ぜんぜん問題無いの! むしろ、見えすぎちゃうくらい!」

「ふ~ん・・・」


{ 交換および装填、完了しました。 発進準備を開始してください! }

控え室にも艦内放送が響き渡る。


「おっと・・・」

「がんばってね、マルチナ!」

「リサ、ミサイル交換してもらったのはいいんだけど・・・」

「なに?」

「アイツに通用すると思う?」

「とにかくさ、ウチらの仕事はミサイル全部ぶちこんで、終了!だから。」

「後発のTEAM・・・なんて名前だっけ? ダラスから来たって言ってた・・・」

「テキサス州の、シリコン・プレーリー・ドッグスってTEAMよ。」

「・・・大丈夫なの?」

「後は、お任せするしかないと思いまーす。」


濃い紫色の機体に、V.V.Vのロゴが白くペイントされた無尾翼機。

エンジンに火が入り、一機づつ順番に垂直離艦を開始した。

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