第16話 潜水艦が見たモノ

『艦長!指定された海域にはすでに到着してるそうですよ?

いつまで待機するおつもりですか?』

別室にいる、新国連監査官のクラウディア・エリアスからだった。

「さんせきの せんすいかん は ようすをみている・・・」

『ふざけないで下さい!!』

艦長が操舵室に戻ってみると、スクリーンに映像が拡大されていた。

「マイク(映像担当)、何かあったのか?」

「艦長、甲板と船体の間です!」  「・・・なに?」

見ると、多数の細かい気泡が上がっているように見えた。

「クラウディア、聞いてるか?」   『なんでしょう?艦長。』

「命令は、確か、“ 空母を破壊せよ ” だった。その方法について言及は・・」

『ありませんでしたよ。言葉はちょっと悪いですが結果オーライでもOKです。』

突然、映像担当が声を荒げた。 「何か出てきます!!」

キノコ雲のような大量の気泡の後、空母の甲板がドアのように二つに割れた。

撮影のために当てられていた、サーチライトの強力な光が届いてないような暗黒。

その暗黒で巨大な物体が空母から抜け出ようとしていた。

「・・・何てこった。」

「射出準備、完了しています!」と、対潜爆雷担当クルー。

艦長は少し間を置いてから、全クルーに通達した。

「解っていると思うが、発射の指示は俺から出す。それまで待機。以上だ。」

スクリーンに映像解析の一部が表示された。

     { 推定 全長 40m }

「・・・クラウディア、これは証拠になるよな?」

『私、提督からこんな話は聞いていませんでした。これは審議だと思います。』

再び映像担当が声を荒げた。 「進路をこちらに変えたようです!!」

「潮時か・・・ 撤退する!」

同時に、潜水艦の側面から対潜爆雷が射出され、一行はその海域から離脱した。

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