第4話 臨時ニュース
「ルミちゃん、お弁当来たわよ~。」
”大原ルミ様”と張り紙してある控え室のドアを開けて、マネージャーが入ってきた。
手さげ袋に店の名前が印刷されている。
「あ・・・ どうも。」
その少女、ルミは、テーブルに数多くの写真をばら撒くように置き、一枚一枚を手にとって見ていた。
「まーた、鳥の写真? こうなったら個展でも開いちゃう?」
マネージャーは手さげ袋の中から仕出し弁当を出し、テーブルの上に置いた。
ルミは写真を片付け始め、テレビのリモコンスイッチを押した。
料理番組のスポンサークレジットが映っている。
「そんな・・・ これが写真です、なんて言ったらオコられちゃいますよー。」
「ダレによ!(笑) ・・・あ、そうそうルミちゃん、もうじき夏休みでしょ?」
企画書をルミに見せるマネージャー。
「またグラビアですか?」
「芸能人一年生用夏休みの宿題、なーんてね。今度は違うみたい。」
「発声練習とか、レッスンしなくて・・・」
「いいの! そんなヒマ無くなっちゃったわよ。 とにかく、これ(企画書)
目、通しといて。」
言われたとおり、企画書を黙読するように見るルミ。
「ルミちゃん! 食べながらでいいから!」
テレビは昼のニュースを伝えようとしていた。
二人とも弁当を突きつつ、企画書を見ている。
「あの・・・ 出版社というか、編集部にご挨拶しといたほうが・・・。」
「まあ、確かにいい心がけなんだけど、担当の方の都合が明日って言うんじゃ・・
しかたないでしょ? それにパスポート取りに行かなきゃ、というのもあるし。」
「何か、うれしそうですよ? ・・・変に。」
「だってさー、初めてなんだモン、外国!」
「あの~、仕事に行くんですよね?」
「そりゃ、ルミちゃんは慣れっこだからいいわよ。 帰国子女で英語もペラペラ、
それに、いろんな所歩き回って写真撮りまくって、現地の人々と交流したりして
・・・と、くれば、通訳よろしくね。・・って、なるじゃない?」
いつになくハイテンションなマネージャーに苦笑するルミ。
{ 速報が入ってきました。 }
その声に反応するようにテレビの方へ振り向く二人。
{ 千葉県百里郡、生業町の民家にミサイルと思われる飛行物体が墜落、
甚大な被害が出た模様です。 }
「ええーーーっ!!?」
「どうしたの!? ルミちゃん!」
それには答えず、テレビを食い入るように見ているルミ。
{ 犠牲者は現在確認されていないものの、被害があった民家の住人、
県立生業高校三年、「鉄砲塚秀太」さんの連絡が取れず、行方も
分かっていません。 }
「だから、どうしたの? ルミちゃん!」
「・・・高校の・・・友だち・・です。」
「・・・マジで・・・?」
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