第5話 2357って美しいよね?

そして、500年が過ぎた。


そう、雑魚モンスターを倒しお金を稼ぐのんびりとした生活が500年も続いていた。


この生活で困ったことは、視線を感じることだが仮面を着けはじめて数十年。すると、素顔を知る者がいなくなり周りの人が見てくることもなくなった。


他に変わったことは、「文房具は魔法で作る」ことを知ったことくらいだろうか。街並みは中世ヨーロッパなのだが、とても品質の紙が置いてある雑貨屋がある。そこでは、紙やノートがあるがペンや鉛筆がひとつもない。店員さんに聞くと、「光魔法で作れるのに、売れるわけないじゃないですか。」と笑われた。魔法というのは凄く便利なんだそうだ。


あとは、数百年くらいしたら数学に少し飽きてきてしまった。なのでそれからは、日常的な魔法の勉強をしていた。


あとは変わったことはない。


今日も町に向かう。魔法石をお金に換金するためだ。


ふと目を向けるとギルドにある張り紙を見つけた。


「魔法学園生徒募集!! 連絡は受け付けまで!!」


この張り紙を見たときこれは行かなければ、と思った。早速受け付けで話を聞く。


「生徒募集の張り紙をみたのですが?」


「入学希望者ですね。ランクに問題ないので、入学試験を受けれますよ。かなり難しいのですが……」


ギルド内のランクはS〜Fまであり、Sは伝説レベルの強さが必要らしい。俺は、500年あったのでいつのまにかCランクまで上がっていた。雑魚モンスターだけでも数をこなせば上がるらしい。


「とりあえず受けます。」


「それと、名前の登録がないと試験が受けれないのです。失礼ですが、お名前をお聞きしてもよろしいですか?」


名前か。そういえばまだ決めてなかったな。


「ライト・ピタゴラス でお願いします。」


「わかりました。では、その名前で登録しますね。えっと……受験番号は、2357です。」


「 綺麗な数ですね」


「?? よくわからないですけど……まぁ、頑張ってください」


なぜこの綺麗さがわからないのだろうか……


登録後、試験日まで勉強せずに時間が過ぎた。


◆◇◆



「めっちゃむずかった。」


試験が終わった。いろんな意味で。


座学では、「風魔法の剣と土魔法、どちらで防御するのが良いですか。それぞれの利点をあげ、自分の意見を50字以上で述べなさい。」とかいうわけのわからない問題があった。落ちたな(確信)


実戦では、ペンを作ったり、水を出したり生活的な魔法ができるかどうかだった。今も昔もソロプレイヤーなのでそのぐらいはできるようなっていた。


◆◇◆


数日後。合格発表を見に行った。


「こんなに合格発表でドキドキするのは初めてだな。」


前世は、身の丈にあった学校に通っていたらしいので、こんなにドキドキするのは初めてだ。周りには、300人ぐらいの人がいた。


俺の受験番号2357番を探す。


「よかった、合格してた!!」


どうにか試験には受かった。

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