第136話「卜伝部長は靡かない」

 平成三十一年、秋。

 夢で見た上半身裸の女子高生に恋をする文学少年が現れた。

 少年は夢の女子高生(一般人の想定するレールガン女子高生が見せた夢の中の卜伝部長を指す言葉。目が覚めたとき少年が夢精していたのは言うまでもない)よりもずっと現実の女性の方に恋をすべきだとはわかっていたが、あの女子高生は本当に実在するような気がしたので興信所などを使って卜伝部長の居場所を突き止めた。今回は夢のときとは違って宮本武蔵女子高生は西暦二〇〇四年の冬木市に行って不在であり、今度こそ少年を邪魔する者は誰もいない。

 したがって少年はいきなり卜伝部長の前に現れると、とにかくすごい気持ち悪いストーカーみたいな笑顔を浮かべて原稿用紙一五〇枚分のラブレターを渡した。

 普通にフラれた。

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