第82話「男は一人で死ね」

昭和二十八年六月十三日。

東京都三鷹玉川上水に太宰治が現れた。

太宰治は山崎富栄(一般人が想定する太宰治とともに入水自殺した愛人を指す言葉。その遺書には太宰への切々とした愛が綴られていた)よりもずっと妻の方を愛していたが、正直に言えば一緒に死んでくれる相手ならこの際誰でもよいと思っていた。太宰は「井伏さんは悪人です」などと師匠の井伏鱒二への恨みつらみや妻への愛が記されたはた迷惑な遺書をしたため、お互いの身体が離れないよう富栄の身体と自分の身体を帯で固く結びつけると、強い雨が川面を叩く暗い闇の中へ身を投げた。

だがいきなり長いレールガンをもった女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で太宰治を女子高生にした。

百合同士の心中になって尊みが増した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る