第69話「アメリカが消滅した世界」

歴史の終わりの先の歴史――時空管理局において侵入者が独房に監禁された同時刻。

窓際部署の「はかせひみつ研究所」にトムソン少年が現れた。

トムソン少年は米国風黒人少年ボブ(時空管理局職員が想定するアメリカ大陸が消滅した世界線における米国人の少年を指す言葉。彼らは歴史が改変される前の世界に住んでいた彼らとはまったく異なる人生を歩んできたである)よりもずっと統計学に詳しくなかったが、物資の補給に乏しい時空管理局の食料庫から悪のはかせが好む駄菓子(ポテトチップ.Zipうちゅう味)を調達してくる才能に長けていたため悪のはかせから重宝されていた。トムソン少年は食料庫に忍び込む途中で時空管理局の執行部の職員の話を立ち聞きしたが、どうやら幹部の間では先ほど現れた侵入者たちの処遇についての緊急会議が開かれているらしかったが、末端の自分には関係ないと思い、気にせず持ち場に戻った。

だがいきなり麩菓子を咥えた悪のはかせがやってきて、とにかくすごい上司命令でトムソン少年に監禁された侵入者の独房を偵察してくるよう命令を下した。

トムソン少年はまた悪のはかせの気紛れが始まったと溜め息をつきながら独房に通じる廊下を歩いていった。


――運命少年運命ゴリラは交錯し、歴史ものがたりは加速する。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る