第34話「2001: A Gorilla Odyssey」

時は西暦二〇〇一年、地球は猿の惑星になっていた。

いまや百獣の王に飽き足らず、万物の霊長にまで上り詰めたゴリラ族の長、ゴリハルト一二三世(一般人が想定する優しきゴリラ・ゴリハルトのありえたかもしれない姿を指す言葉。声帯が発達しているためウホホッ以外の言語も発話可能)は愛すべき妻ゴリーナやその子供たちを地球に残して、いま木星の衛星軌道上のモノリスからスター・ゲイトを開き、宇宙の真理の最奥へと近づきつつあった。レールガン女子高生は平和で争いのないゴリラ社会が人類よりも早い速度で生命としての次なる進化を遂げたことに強い感慨を抱いたが、その一方で消失してしまった人類史ともう会えなくなった人たちへの喪失感も感じていた。

そこで女子高生はいきなりレールガンを取り出して、とにかくすごい攻撃で量子力学のコペンハーゲン解釈を多世界解釈に変更して、ゴリラ文明と人類の文明を並行世界として存立できるようにした。

我々の住む世界とは別の世界線で、今もゴリラたちは平和に暮らしている。

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