154.5話 密会
ズ・バイト学園転送地点ーー
「で、どう?そっちはうまくやってる副会長?」
「ええ、勿論。面倒臭そうな一年は厳選してダンジョンに送りましたよ」
横に座る、本体ではないムルド・ラクシーはヘラヘラと笑みを浮かべている。
ズ・バイト学園生徒執行会会長のカルア・コルクは、本に目を向けてはいるが、このムルドの表情はいつも同じでカルアの感に触る表情を浮かべているので良くわかっていた。
「キャニオンがやられたって聞いたけど、それでも言えるの?」
「あー……あいつのことはもとよりあんまり信用してないって言うか……」
カルアは、ムルドを睨むが全く動じないし、むしろ少し喜んでいる。
「あなたが作ったダンジョンももう三分の一制覇されてると聞いてるけど」
そう言われて、初めてムルドは顔を若干しかめる。これはムルドも良くは思っていない。
彼は数あるダンジョンを研究し、この日の為に作り上げしかもその実験データまで取れるというこんな美味しい状況で、こんな早く攻略されてはムルドが良く思わないのもカルアは理解は出来る。
「あまり、あの子には無理させないでね……」
「分かってますよ、作った張本人にヘソを曲げられてはたまったもんじゃないですからね」
そう、ムルドはダンジョンを計画、設計し、魔物の配置などを行ってはいるがダンジョン自体を作っているのはまた別の属性の持ち主にやらせている。
「でも、まさかここまで早いとはね……」
「やはり、あなたでも予想外でしたか」
「他の二チームの進行状況は?」
「その他のチームは彼らの二分の一も進んでいませんよ」
「まるで、普通じゃないみたいね」
「いやいや、これが正常なんですよ」
夜も更け、皆が寝静まった時に連絡をよこしたムルドもそうだが、なんでこうも規格外って予期しないところから出てくるのか、カルアは本を読みながらうんざりしていた。
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