113.5話 カルイン
カルイン魔導学園学園長室ーー
学園長のアバル・ジャベリンは副学園長のエイギスは現状を報告しあっていた。
「乗ってきたのはズ・バイト学園とバハイン学園です」
「そう、でもいいのかしらねこんなことして」
分かって聞いてきているのはエイギスとしても百も承知。アバルは悪びれる言葉なのにも関わらず表情が全くマッチしていない。
「ですが、流石にレイ・クラウド学園は乗ってきませんね」
「当たり前よ、あそこはそう言うことに興味ないわね。私たちが束になっても勝てないほどの強者。王者の余裕かしらね」
「全くです。国防即戦力が多すぎます」
五つの学園でレイ・クラウド学園の実力は飛び抜けている。他の学園の学園長達からは化け物製造学園と呼ばれていたりもするほどだ。
なので、魔導修練祭はあの学園にとってはただの遊び。
いつか、一位の座を引きずり落としたいが明らかに戦力が足りない以上仕方ない。
「それと、今回はルイン学園……強くなってると聞いてます」
「あなた正気?去年の魔導修練祭のことを思い出してもまだ言えるのかしら?」
去年……エイギスは忘れるはずがなかった。
別にルイン学園は弱くはないが、何故か最初にレイ・クラウド学園に対峙しボロボロにされ、その残党を他の学園に狩られるという事態が起きて後半は四校での争いになった。
本来なら、レイ・クラウド学園と距離を置いて牽制しつつ他の学園と争い、最後に残った学園がレイ・クラウド学園と対峙するという協定を結んでいたが、それを破ったのだ。
これまで一切そう言った動きは見せなかったが突然やられたので他の学園は皆明らかに態度を変えた。
実力的にはルインが一番下なのでなおさらだ。
「今年もそうするかは分からないけど、どう動くかは抜かりないよう伝えといてちょうだいね」
「分かっています」
そして、学園内に始業の鐘が鳴り響く。
「魔導修練祭まで時間がありません。私も今日から指導に入ります」
「分かったわ」
アバルは窓から見える生徒を見て今年はどうなるのか楽しみでしょうがなかった。
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