121話 入国です
レイ・クラウド帝国ーー
アキト達一年生は、数日を費やしついに帝国到着した。今は検問所で停車中だ。
アキトとしては、国という場所に来たのが初めてなので、色々楽しみな点がかなりあった。
まず、料理やその食材などの食文化、魔法やスキル、アイテムといったOOPARTSオンラインに関係するもの、国やけんに繋がる情報などなど恐らく滞在日だけではそれら全てを網羅することは出来ない。
それは、仕方ないことが優先順位ではまず、けんのこと、それに次いで魔法やスキル、アイテムなどの情報収拾だ。食文化はぶらぶらしてればいやでも腹減って何か食べ、国の情報などはけんのことを調べてたら自ずと連鎖的に調べることになる。
それにしても……でかい……
感想が凄く単純だが、ビルが沢山あった元の世界とはまた別の圧巻さがあり、アキトにしてみれば新鮮身しかなかった。
アキト達は全員の検問が終わるまでは、動けないので時間がかかるが、窓から外を覗くと色々な人が出入りしているのが良く分かる。
一日に何人の人が出入りしているのか数えてみたくなるほどだ。
「アキトは自由時間どこ行くんだ?」
「俺は帝国魔導書館とかお店まわったりとかかな……適当にぶらつく感じ」
このレイ・クラウド帝国にはルイン学園に備わっている魔導書館とは比べ物にならないほど大きな魔導書館がある。
「トルスは?」
「鍛錬だ……」
「なんだよーせっかく俺が一緒に行ってやろう思ってたのによ!」
「自由時間って言っても今日と明日だけだぞ。試合が始まったら終わるまでは出られないからな」
仮に出られるとしても重症判定か気絶なので五体満足でこの国を巡ることは出来ない。
「バルトもやりたいことやっといたほうがいい」
「そうだなートルスの言う通りだわ。俺もやりたいことやるぜ!」
いつ、どこでも元気でいられるバルトにはうんざりもするが、こういう奴が試合での精神的支柱になり得るんだからまた面白い。
すると、馬車の車輪がゆっくりと回り出し、再び心地よい振動が体に伝わってくる。
検問を突破し、ついに帝国国内に入って行く。
速度は流石に国内なので上がらず常に徐行運転だが、そのおかげもあって国内を良く見ることが出来る。
「こりゃすげえぇな!人多いな!美人発見!」
バルトはさっきから窓の外を見て狭い馬車内で喋りまくるのでうるさい。
だが、今言った人が多いのはバルトに同意だ。
魔導修練祭で、人が多いのでメインの通りは避けているようだがそれでもかなりの人がいて時折馬車の進みが鈍くなる。
生徒は、学園の生徒用に用意された宿泊施設に行くのだが、この感じだとかなり時間がかかりそうだった。
「お前ら!」
突然、馬車の扉が開かれアキト達三人は全員は臨戦体勢に入る。
だが、そこにいたのはウタゲだった。
「ど、どうしたんですか?」
「よし、いい反応だな。恐らくこの人混みで馬車もろくに移動出来ない。今から降りて自力で宿泊施設まで行ってくれ」
「あの遅れが響いてるんですか?」
「ん?あ、いや違う。ただの到着時間ミスだ。じゃ、いけ!」
納得はいかないが、ウタゲに逆らうといいことはないので三人は馬車から降りる。
「けどよーウタゲちゃん。俺達宿泊施設の場所なんて知らんぜ?」
「その呼び方次したらぶちのめすぞバルト!地図は学園カードに送ったからそれ見て来い」
「じゃあ、実質今から自由時間ですかね」
「そういうこった」
「時間指定ありますか?」
「日が落ちるまでには宿泊施設に来てくれ。明日からの説明とか色々あるからな」
「分かりました」
それだけ告げてウタゲは次の馬車に向かう。それを少し観察していると、毎回アキト達にやったようにいきなり扉を開けて驚かしていた。
何やってんだか……
アキトはウタゲの子供っぽさに呆れるが、時間が勿体無いので移動する。
アキトは一旦学園カードを手に持ち、自分の属性(天恵)を軽く流す。すると、地図がアキトの視界上に浮かび上がってくる。現在地を赤点、目的地を青点で示してある。
この国内に何があるかなど意外と詳細に表記されていた。
これなら、迷うことはなさそうだった。
学生用に用意されている宿泊施設は一個に集約されている訳ではなく宿泊街を一括で国が管理しているので、大体の場所が合っているだけで、全員場所が同じということはない。
「バルト、トルス。また後でな」
アキトは、まだ学園カードと格闘している二人に一旦別れを告げる。
「おう!また、後でな」
「うむ!気をつけてな」
**
アキトは帝国魔導書館までの道中で買った何だか良く分からない食べ物を食べてみたがクオリティの高さに驚いていた。しかも安い。
普通こう言うイベントの時は、高くしたり、ハズレの店も結構多いのに最初にこの当たり……引きはいい感じだった。
魔導書館が冒険者ギルドを抜けた先にあるのでアキトはついでにこの国の冒険者を拝見していこうかなという好奇心だけでのぞいていた。
OOPARTSオンラインでもこういう施設があったので、それに慣れすぎていてそこまで驚きはしなかった。
だが、実際にそれを生業としている人というのはやはりゲームよりは迫力があり、痺れるものがあった。
「やっぱりここは学生に人気なのか……」
アキトはちらほら他の学生服を着た人たちが目に入った。
冒険者ギルドを行き来する人はまず装備から違うので学生服を着ている人はかなり浮いた存在になってわかりやすい。
そう言うアキトも、さっきから色々な人から目線を貰っているのでお互い様だ。
リ・ストランテの冒険者ギルドでは、まだ無知すぎるのもあるし服装もここまで目立っていなかったのも合ってすんなりと入れたが何だかアキトは気まづかった。
「おい!そこの学生」
アキトが冒険者ギルドの辺りをうろうろしていると突然後ろから声をかけられる。
だが、アキトはわざと無視し、自分では無い聞こえないという程を装っていた。
軽く後ろをチラ見すると男二人女二人で、一人は好青年って感じでもう一人はゴリゴリのガテン系だ、そして女性二人は双子と一目で分かるほど容姿が似ていた。
ルナとセナの雰囲気にそっくりだった。
明らかにアキトの方を見ていたその冒険者は、アキトが振り向くまでずっと見ていた。
アキトは面倒は臭いが話しかけないともっと面倒なことになりかねないので振り向く。
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