102話 ストレス
ルイン魔導学園黒聖一年生クラスーー
「あー!!今日の授業はこれで終わり!!」
ウタゲは終始イライラしながらの授業だった。少しでも居眠りしようもんなら眉間に小さな火の粉が飛んで来る始末。生徒は皆一分一秒気を抜けない授業だった。
結局一週間ほどいないと言っていたが二日早く帰ってきたのだ。これにはシェルも驚いていて、明らかに不機嫌な授業が始まったのがそこからだった。
そして、ウタゲ先生は扉を思いっきり開け少し扉が歪む。
「あ、そうだ……明日から午前の授業は全て実技になるからそのつもりでな。午後からも希望者は私が面倒見てやる!」
鋭い眼光で睨みつけるように言うので立ち上がって昼ごはんを食べに行こうとしていた人もみんな坐り直す。
そのままウタゲはシェルを連れて教室を後にする。
「おい!アキト……最近ウタゲちゃんの調子ずっとこんな感じだよな」
アキトはなぜか小声で後ろからバルトに声をかけられる。
「てか、お前おでこ大丈夫か……」
バルトの眉間から上には無数の火の粉の後があり、同じ火属性なのでやけどはしていないがあざが出来ており一種の模様のようになっていた。
「おう!おでこなら心配ねぇぜ」
「本当じゃのー何があったのやら」
「痛っでー!!」
シロネがバルトのおでこを覆えるほどの大きな薬草をアイテムボックスから取り出し勢いよく貼り付ける。
「明日から実技だって言ってたし覚悟がいるかもしれないな」
アキトが少し脅しのように言ってみるとなぜか教室中の人たち全員の動きが一瞬止まる。
「おい、嘘だからね、ジョークだよジョーク!」
「明日が命日になりそうだな」
バルトほどではないがおでこに三箇所火傷跡があるトルスが言うと説得力がある。
周りを見るとウタゲに被害を受けたことがある人は皆目が座っているか曇っている。一番被害を受けているであろうバルトに関してはなんとも思っておらずのほほーんとしている。
アキトはお腹が減ったのでまずは腹ごしらえと思って立ち上がった時にはバルトやシロネ、エーフやユイ達も同じ考えだったのか同時に立ち上がる。
「何はともあれじゃ先生がやる気になっとるのじゃから悪いことでもないじゃろうな」
「そうですよ!私的にシロネちゃんにしごかれるほうが何倍もきついのです!」
エーフはドヤ顔で宣言すると、笑顔のシロネに手を引かれ連れていかれる。ユイも同時に連行されていた。
それを見てエルやバルト、トルスはそれぞれいつもの特訓をすべく教室を出て行く。セアやトレインなどみんな一斉に出て行き教室にはアキトとルナそして机に突っ伏して寝ているセナだけとなった。
「たくもーセナ!起きなさいってばー」
ルナがセナの肩を揺らして起こそうとしているが全く起きる気配がない。
数分その攻防を続け諦めたのかルナがセナを背負う。
「お姉ちゃんやってるなー」
「うるさい!」
アキトは本心を言ったつもりだったがルナに思いっきり睨みつけられる。だが、アキトはそんなことよりもセナの額に目がいく。
そう、セナは寝ていたのでもちろんウタゲの火の粉が飛んできているはずだが、一切そう言った跡が見られない。
「ほらっ!アキトぼーっとしてないで図書館に行くわよ!」
アキトは色々と考えを巡らせたが、ルナに遮られたのでこれ以上は考えなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。