幼馴染を追って異世界へ〜¥300,000,000課金した最強の【重力属性】、転生したらLv1からやり直すことになりました〜
甲殻類
序章
プロローグ 対話
「オッハローン!」
思わず気が抜けるような腑抜けた挨拶が耳を通り抜け鼓膜を刺激され男は目を開ける。
そこは、あたり一面真っ白だがどこか一般人の部屋を感じさせるような簡素さであり、無機質な物の数々が男の目に入ってくる。
「お〜い!聞こえてるー?この女神が言っているのだぞ!」
その男の前にいる女性の顔をした女神は、手を男の顔の前でふって意識を確認している。
女神はとてつもなく綺麗な顔立ちで、人間では表現出来ないような容姿を持っており、意識がまだしっかりとしていない男にとっても相当な衝撃が加えられ、反応せずにはいられなくなる。
そして、目の前にあるテーブルやら、角にあるテレビ、それに繋がれているゲーム機、側面に置いてあるタンス、本棚、ベットと本当にごく普通の一人暮らしの部屋みたいで、男にとって居心地はそんなに悪くはなかった。
だが、しびれを切らしたのか、女神は反応の悪い男の鼻をつまむ。
「お〜い、意識あるの知ってるんだぞ〜無視するな〜」
男はその女神の痛くもない鼻つまみに負け口を開くーー
「ども」
女神は驚いた表情で男を見る。
それから嬉しそうに目を輝かせてから、さも鼻をつまんだことが効果的で、やってやったという誇らしげな感じで頷き初めたので、男はイラつき、手のひらを縦に向け女神の頭めがけ振り下ろす。
「痛っ何するんですか」
「なんかイラっとしたのでやりました」
「そんなはっきり言うんですねぇ」
女神は頭を可愛く両手で押さえ縮こまりながら会話を続けた。
「まずは自己紹介から私は女神の……女神です!……あー!今痛い子だと思ったでしょ……私には名前がないだけなの、別に痛い子じゃないからね!」
可愛げに頬を指で凹ませ女神は振る舞うが、男は全く興味ないのか自分のペースで話を進める。
「で、ここはどこなんだ」
「私の家です!」
「なぜ、その女神の家に俺が呼ばれたんだ?」
男は最大の疑問であったのか女神にいきなりぶつける。
「え?いきなり呼び捨て……えーごほん……あなたはですねぇ〜」
「……死んだのです!!!」
女神は不敵に笑い高らかに宣言する。
女神は机に片足をたて男の顔すれすれまで人差指を突き立ててくる。
死んだことよりも、顔すれすれにある指の方の驚きが強いのか男は惚けたような表情になる。
「反応薄いですねぇ」
薄いと言われても男にとっては実感がなさすぎるので当然と言えば当然の反応だ。
「なんか記憶が曖昧で納得できないんですよ。」
女神ははっとした表情になり、急に慌てだす。
「そうだそうだあなたの記憶は、今ほとんど無い状態なんですよぉ〜」
男は目を細め女神をじっと見つめるが、女神は何もなかったかのように話を進める。
「死んだ人は基本記憶を抜かれてまた新しい命に転生していくのですが、あなたを見かけたのでちょっと呼び止めたのですよ!」
「なぜ僕なんかを?」
「そうですねぇそれを話すにはまず記憶を戻してからの方がいいでしょう。」
そう言うと女神は机の上に脳みそを置いた。
「これがあなたの記憶です!」
まさに人間の頭の中に入っている脳みそのままの形をしているのでかなりグロテスクで、べっとりとした水分多めな感じがより気持ち悪さを増強していた。
「これからあなたの記憶をもどすのですが、一気に戻すと頭がパンクしかねないので徐々に幼少期から戻していきます!」
そう言うと女神はその脳みそを男に渡した。
「えーとですねぇ。その脳みそをパクッといっちゃってください!」
男は何も言わずムッとした表情になるが、女神にとっては日常茶飯事なので今更気にすることもない。
「味覚は無いですから大丈夫ですよぉ〜!」
女神に言われ不審がりながらも男は脳みそを手にとるが、味覚がなくとも嗅覚があった恐らく完全にダメなので男は不審がりながらゆっくり口元に持って行く。
そして匂いも無いということを確認すると、男は憂鬱そうに目を閉じ一口かじる。
そして、かじった瞬間男の意識は徐々に遠のいていく……その際、男は自己紹介していなかったと思うがそれはもう遅かった。
男は、これからどうなるんだろうという期待と不安を感じながら徐々に意識が薄れて行く。
「行ってらっしゃい!」
男が意識が飛ぶ直前うっすらと目を開け見た女神の顔はーー
嗤っていたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。