第2話 友人に同居のことを相談した!

今の会社は六本木にある。住んでいるのは西新井で通勤には1時間以上かかる。部屋も1DKのアパートで家賃も7万円だ。悪い話ではない。


親友の山内やまうち亜紀あきさんに相談してみることにした。彼女は前の会社の同期入社で、性格は全く正反対のようだけど、食事をしたり、お互いに仕事の相談をしあう仲だった。前の会社でのトラブルの時も相談にのってくれて、随分励ましてもらった。


電話すると久しぶりだと言って快く相談にのってくれることになった。明日の7時に食事をしながら話を聞いてくれることになった。


◆ ◆ ◆

「その条件、悪くないと思うけどね。それに会社のエリートなんでしょ。私だったら、その場でOKとしたと思うわ」


「でもね、独身の男性よ、一緒に生活すると気を遣いそうで」


「結衣らしいわ。その気を遣いすぎるところが、結衣の悪いところ。それで災いを招いているんじゃないの。でもその彼、結衣となら絶対に男女の関係にはならないと思うと言ったんでしょ」


「それを聞いて、少しムッとしたけど」


「今の結衣ならそう言われてもしかたがないと思うけど。彼は結衣が気を遣わなくてもよい相手と思ったからでしょう。相手がそうなら、あなたも独身男性と意識して気を遣う必要はないでしょう」


「確かに、そう思うと気が楽かもね」


「自然に振舞っていればいいのよ。それとも、エリートの彼が気になる? 好きになりそう?」


「今は男性不信になっているから、それはないと思う」


「まあ、一緒に住むときっと隙も見せると思うから、独身の男が何を考えているのか、観察する絶好の機会じゃないの?」


「確かにそうかもしれないわ。私は知らなさ過ぎたのかもしれないから」


「それに彼が結衣を好きになったら、それこそ儲けものだし」


「それはないと思う」


「じゃあ、冷静になって条件だけを考えて、提案を受け入ることにしたら」


「そうする」


亜紀に相談して良かった。亜紀はいつも前向きだ。だからいつも話をするうちに元気をもらう気がする。今回も話しているうちに前向きになれて、同居の提案を受け入れる気持ちになってきた。


でも亜紀はこんな私のどこを気に入ってくれているんだろう? いつか聞いたら、まじめに相談してくれて頼りにされているから嬉しいと言っていた。私にとっては何でも相談できる大切な友人だ。


確かに今の私はあれから自信を失ってうちに閉じこもっている。自信の無さは今の地味な姿がそれを表していると言える。それは自分でもよく分かっている。でも立ち直るきっかけがつかめない。


目先を変えて、もう一度、近くで独身男性の生活というか行動を見てみるのも良い経験になる。立ち直るきっかけもつかめるかもしれない。お互いに人畜無害と思っているから、気を遣うこともない。ここは気分転換のためにも同居してみよう!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る