7. おっさん、街へ向かう
一旦外へ出て、放り出したバレットM95を回収してインベントリに。
巨大熊の死体もとりあえずインベントリに入れておく。
商人らしき男や護衛達の死体はグロいので放置する。
いつまでもここにいてもしょうがないので、街に向かおう。
幌馬車に戻ると、獣人っ子はおなかがいっぱいになって眠くなったのかウトウトしはじめている。
怖がらせないようにそっと抱き上げると、きゅっとしがみついてくる。
あまりの可愛らしさに叫びそうになるが必死にこらえる。起こしたらかわいそうだからね。
街道から眺めると、今まで気付かなかったが遠くに街らしき物が見える。
眠る獣人っ子を抱っこしたまま、俺は街に向かって歩き出した。
街は高い壁に囲まれており、規模はかなり大きい。
入り口には門番らしき武装した男がいた。
「そこで止まれ。何用だ!」
「遠くより旅をしてまいりました。街に入りたいのですが・・」
「身分証を持っているか?」
「いえ、持っておりません」
「その場合税として一人あたり大銀貨1枚、二人合わせて大銀貨2枚になる」
「・・あいにく路銀が尽きてしまいまして。魔物の素材を売ってそこから支払うという事ではいけませんか?」
「かまわんぞ。ただその場合、売却先まで同行させてもらうが」
「では、それでお願いいたします」
門番は同僚に声を掛け、一緒に街中へ。
門番を観察すると、革鎧を来た彫りの深いヨーロッパ系の顔立ちをした男だった。
(よかった・・身分証が無いと入れないとかだったら詰むところだった。まあ、都市部ならともかく、地方の農村とかだと身分証なんか無いのかもな~)
「魔物の素材はどちらで売却すればよろしいですか?」
「冒険者ギルドだな。討伐依頼が出ている魔物なら討伐報酬も出るしな。」
(ほう・・冒険者ギルドがあるのか。さすが異世界)
門番の案内で冒険者ギルドに向かう。
ちなみに獣人っ子はまだ眠っていて、口をあけてよだれをたらしている。可愛い。
しばらく歩くと、剣と盾のマークがついた石造りの大きな建物に着く。
スイングドアを押し開き中に入ると、イメージ通りのカウンターがあり奥には酒場が見えた。
まだ昼間という事もあり、冒険者に絡まれることも無かった。門番と一緒だしね。
その門番がカウンターにいる受付嬢に話しかける。
受付嬢といっても残念ながらオバちゃんだが。
「この旅人が魔物素材を売りたいそうだ」
「あいよ。それじゃ素材を出してくれるかい?」
門番とオバちゃんがこちらを見る。
「あ、かなり大きいのでここだとちょっと厳しいです」
「ん?外に置いてあるのかい?」
「いえ、インベントリに入っています」
「インベントリ?なんだいそりゃ?」
首を傾げるオバちゃん。・・何か嫌な予感がする。
「と、とりあえずどこか広いスペースはありますか?」
「?それじゃあ解体場に行こうか。」
オバちゃんが怪訝な顔をしながらも案内してくれる。
解体場に着いたところでインベントリから巨大熊を取り出す
『ドスン!!』
「これなんですが・・」
振り向くとオバちゃんと門番が、口を開けたまま固まっている。
「あのーこれなんですけど・・買い取れますかね?」
「「なんじゃこりゃー!!!」」
オバちゃんと門番の叫び声が、解体場にこだました。
突然の叫び声に獣人っ子がびっくりして飛び起きる。ぶわっと目に涙が溜まる。
「よーしよし、だいじょうぶだよー」
背中をやさしくポンポンしながらあやす。
「いきなり大きな声出さないでもらえますか?子供がびっくりするんで」
「ちょ、おま・・これなんだよ!」
慌てて詰め寄ってくる門番。
「・・というか今、これどっから出したんだい!?・・マジックバッグ?」
同じく慌てて詰め寄るオバちゃん。
「はい、マジックバッグから出しました」
ナチュラルに嘘をつく俺。
(インベントリ知らないみたいだしな・・とりあえず話を合わせよう)
「いや・・マジックバッグでも普通こんなに大きなもの入らないと思うんだけど・・」
オバちゃんが何やらブツブツ言っているが聞こえないふりをする。
「この金色の縞模様・・ベヒモスじゃねーか!?これお前がやったのか!?」
「そんなわけないじゃないですか。街に来る途中で拾いました」
ナチュラルに嘘をつく俺。
「ちょ、詳しく聞かせろ!」
ここに来る途中、巨大熊(べひもす?)の死体を見つけた事。辺りには商人と護衛らしき無惨な死体が散乱していた事。幌馬車があり、その中の檻にこの獣人っ子がいた事などを説明した。
「たぶん相討ちになったんじゃないですかね~」
ナチュラルに嘘を(ry
「そんな馬鹿な・・ベヒモスといえば災害級の魔物だぞ・・。Aランクパーティーが複数協力しても倒せるかどうかなんだぞ・・」
Oh!そんなヤバイやつだったんですね・・。
「俺は領主様に報告してくる!!」
門番が飛び出していった。
(やべえ・・厄介事のニオイしかしねぇ・・)
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