第5話 不良と地味子と低血圧子は城塞都市を再建する⑦
「さっきはあえて説明しなかったのだけど、自分の番に手下を置く際の重要なルールとして『既に誰かのコマが置いてある地形と繋がるところには置くことができない』というものがある。具体的にはこう」
ウタゲはタイルの上に、篠原の手下(青)とオレの手下(赤)を乗せながらいくつかの例を示した。
「既に所有者がいる地形に割り込むわけにはいかないってことか」
「イメージとしてはそうだね。置いてあるのが自分の手下でもNGだけど」
「……しかし、だとすると、どうやればひと繋がりの地形に複数のコマがいる状態になるんだよ?」
「既にコマが置いてある地形が後からくっついてしまったら、だね。具体的にはこんな感じ」
ウタゲはU字の城壁が描かれたタイルを二つ用意し、修道院タイルの縦横に繋げて見せてから、それぞれの上に青いコマと黄色いコマを一つずつ置いた。仕上げに二つのU字タイルの両方と繋がるようなタイルを持ってきて、はめ込む。
「こういうのアリなのか」
「いえーい。マコトさんとルームシェアだっ」
篠原がはしゃいでいる。なんだか嫌な予感がする。
「この状態で地形を完成させると、春川君とユウちゃんに同じだけ点数が入る」
「やっぱりか」
「続いてこの都市にさらにユウちゃんが所有する別の都市がくっついた場合を考えよう」
ウタゲはそう宣言して、オレの手下が置いてあるタイルの横に新たなタイルとともに篠原の手下を置くと、さらにもう一枚、タイルを並べて、元の都市にくっつけた!
「いえーい。マコトさん、今日からここ、あたしん家です」
急に声色を変えて低い声で言う。ひと繋ぎになった都市の上に置かれた篠原の手下は二人。なんだか猛烈に嫌な予感がする。
「この状態で地形を完成させると、ユウちゃんにだけ点数が入り、春川君には全く点数が入らない」
「だよなあ!」
「折角大きくした自分の土地が相乗りされたりあっという間に乗っ取られたり……カルカソンヌではよくあることだから注意が必要だよ。もちろん道と草原についても同じルールが適用される。特に草原は思わぬところで二つのエリアが繋がって、勢力図が変わることがままあるから気を付けてね」
それからウタゲはふう、と息を継いで「わたしからの説明は以上だけど、どうかな?」と尋ねた。
「あたしは大丈夫」
「オレも問題なしだぜ。武田勝頼の命を受けた山県昌景もかくやというような普請
「「だからそれ誰」」
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