あの日、彼女と出会い少しづつ変わっていった

ママレー

第1話 昼休み

こんな朝早くから誰だよ。

朝からずっとスマホが鳴り続けている。

最初は無視してたけど、鳴り止まないので。

電話にでることにした。


「もしもし、お兄ちゃん。遅いんだけど」


電話の相手は、一ノ瀬玲奈いちのせ れいな

中学二年生の妹だ。


「何時だと思ってんだよ」


「朝の五時半だけど。まぁ、いいじゃん」


「よくないよ」


「そうそう。来月、そっちに友達と一緒に泊まりで行くから。そん時はよろしくね! 」


「もしかして、それを言うだけに電話したのか?」


「そうだけど」


「それだけなら、メールでいいだろ」


「まぁまぁいいじゃん。お兄ちゃんと話したかったんだから」


「この時間じゃなく……」


切られた。

まだ七時まで時間があるし。

よし、寝るか。


朝七時、目覚まし時計が鳴り響いた。

まだ寝ていたい思ってたけど、これ以上寝ると学校に遅刻する。


俺は、鳴っていた目覚まし時計を止め。

ベットからでる。

部屋に掛けかけてあった制服を取り。

制服に着替え、学校に行く準備をした。


ちなみに俺が通っている高校は、男子は黒のブレザーにズボンと紺色のネクタイ。

女子は、黒のブレザーに黒と白のラインが入ってる赤色のスカート、ピンク色のリボンをつけている。


高校一年生になってから一ヶ月が経ち。

五月中旬。

俺、一ノ瀬睦いちのせ りくは、高校から一人で暮らしている。


中学三年生までは、家族四人で暮らしていたけど。

両親が、新しい良い家を見つけ。

地方の方に引っ越すことが決まった。


最初は、俺も一緒に引っ越す予定だったけど。

やっぱり、この家が気に入ってたのもあるせいか。

俺は、この家に一人残ることにした。

結局、両親と妹だけが新しい家に引っ越した。


食費などは毎月親から貰って生活している。

俺はそろそろ、高校生活と一人暮らしに慣れてきたので。

アルバイトでもしようか考えていた。


家は、二階建ての一軒家で。

一人で暮らす分には広すぎるぐらいだ。


最初は心配し両親が、毎日電話をしてきて大丈夫か聞いてきたけど。

今ではもう大丈夫だろうと思ってるのか。

電話すらしてこなくなったが、最近は妹から電話がかかってくる。


今日の朝もそうだった。

電話をかけてくる時間を考えてほしい。


一人暮らしを始めた頃は、毎日料理を作ったり。

掃除をしたりなど、慣れなく苦戦していたけど。

一ヶ月も経つと慣れてきたもんで。

今では、普通に生活ができるようになった。


ただ、それでも一つ少しめんどくさいと思うことがある。

それは、毎日の夕食だ。

毎日おかずは何にしようか、考えるのがめんどくさい。

改めて、毎日ご飯を作ってる親はすごいなと思う。


たまに、コンビニでお弁当を買って帰ろうか悩む時があるが。

俺は、コンビニでお弁当をできるだけ買わず自炊すると決めている。


制服に着替え、学校に行く準備を終え。


俺は、朝食とお昼のお弁当の支度を始める。

お昼のお弁当は、いつも同じおかずなので楽。

毎日同じおかずを食べていても、飽きないもんだな。


よし、今日はいい感じに卵焼きができたな。

俺はお弁当を手際よく作り終え、次に朝食の準備をする。


朝食は、トースター焼いた食パンにマーガリンを塗ったやつと味噌汁。

味噌汁は、日によって作ったり作らなかったりしている。


朝食を食べ終え。

俺は、リュックにお弁当を入れ学校に向かう。


自宅から学校は、三駅電車に乗り歩いて五分。

俺は帰りに、最寄り駅の近くのスーパーに寄って帰ることにした。

そこは、よくお世話になっているスーパー。

品揃いが豊富で、助かっている。


ポケットからスマホを出し、時計を見てみたら。

いつもより少し遅れていたので。

俺は、少し早歩きで学校に向かった。


学校に着いた俺は、教室に入ると。

クラスの一部の男子が教室の端に集まっていた。

なんだか騒がしい。


「おう! 一ノ瀬ちょっとこっち来いよ」


教室に入り早々。

薄い茶色の短い髪、爽やか系男子に呼ばれた。


俺を呼んだこいつの名は、月島優斗つきしま ゆうとだ。

高校から仲良くなり、今では一番仲がいい友達だ。

唯一、俺が一人暮らしをしてることを知っている。


「どうしたんだよ」


と言いながら。

俺は男子が集まっているところに向かった。


話を聞いたところ。

どうやら、同じクラスの双葉莉奈ふたば りなと隣のクラスの七瀬優菜ななせ ゆうなのどちらが可愛いかで争っている。


この二人は、学年でも一位二位争うほど可愛く。

みんなから人気な女子。

と前に、月島達に言われたことがある。


「で一ノ瀬は誰だと思う?」


月島が聞いてきた。

それに続いて、他の男子言ってきた。


「俺は分からないな」


「なんだよそれ」


周りの男子らに言われた。

正直言って、決められない。


そもそも、同じクラスの双葉しか知らないし。

隣のクラスの七瀬は、見たことがないので。

それで決めろなんて無理がある。


同じクラスの双葉は、髪型はポニーテールでピンク色のシュシュで髪を結んでいて。

誰にでも優しく明るい性格の女子。

身長は、クラスの女子の平均より少し小さい。

誰にでも優しく話しかけ。

クラスの中でも人気が高い。

もちろん他クラスからも。


双葉とは、何度か話したことがある。

そもそも、本当にこの二人は学年一位二位争うほど可愛いのかすら分からない。


こいつらが勝手に決めてるのかもしれないと、俺は思っている。

実際に、確かめてみないと分からない。

けど、特に興味がなかったので。

学年で一位二位可愛いとしておこう。


これ以上、話し合いでは決まらないと分かり。

多数決で決めることにした。


俺はどちらにも手を挙げておいた。


結果。

ほとんどの僅差で、一番可愛いのは同じクラスの双葉莉奈に決まったようだ。


まぁなんというかあれだな。

どうでもいいな。


そんな中、一人落ち込んでいるやつがいる。

月島だ。

なぜ落ち込んでいるのか聞こうとしたけど。

面倒なことになりそうなので、そっとしておいた。


チャイムが鳴り。

担任の羽月はづき先生が教室に入ってきたので。

みんな席に着き始める。


このクラスの担任。

羽月先生は、英語科で。

この学校の中でも一番若い女性教師。


「一ノ瀬は分かってないな。七瀬優菜の可愛さ」


隣の月島が言ってきた。


「そんなこと言われても見たことがないしな。そもそも興味がない」


「そうだったな、一ノ瀬は恋愛に興味がなかったな」


「そこ!一ノ瀬君と月島君、おしゃべりしない」


羽月先生に怒られたが、それほど怖くなかった。


「まぁとりあえず一度会ってみろよ。絶対に可愛いと思うぜ」


月島は、しつこく言ってきたので。

機会があったらと言っておいたが、多分会いに行かないだろう。


授業中。


隣を見ると相変わらず月島は、ぐっすり寝ている。

この光景はいつものこと。


月島は、毎朝陸上部の練習があり。

そのせいで、疲れているのか。

たまに起きて授業うけてるぐらいで、ほとんど寝ている。

朝練て大変だな。


俺は今日の夕食は何にするか考えていた。

それにしても、毎回先生に注意されないところ。

ある意味すごいな。

それとも注意するのが、めんどくさいのかな。


午前の授業が終わり昼休み。

俺は隣の月島を起こし。

一緒にお昼食べようぜと誘うが。


「わりー、今日部活の集まりがあるんだ」


と言い。

月島は、急いで部活の集まりに向かって行った。


いつも一緒に食べてる月島が、部活の集まりに行って。

一人になってしまった。


今日は、別の男子と一緒に食べようと思ったけど。

たまには一人で食べたいなと思い。


俺は、お弁当を持ち教室を出て。

適当に廊下を歩いていた。


たまたま良い所を見つけ。

俺は、ここで食べることにした。


そこは、屋上に続く階段で人通りが少なく静かな場所。

わりと落ち着く。

たまには、こうゆう場所で食べるのも悪くないな。


お昼でも食べようと思った時。

普段、人が入れないはずの屋上から話し声が聞こえたので。

覗いてみたら、同じクラスの双葉と男子がいた。


あの男子て確か、最近カッコイイて言われてる。

有馬ありま……下の名前なんだっけ。

まぁいいや、それよりなにしてんだ。


ここからだと何話してるか分からなかったが、よく見たら。

腕を掴まれていて、双葉が嫌がってるのが分かった。

さすがに、これはやばいだろ。

俺は急いで助けに行った。


「彼女が嫌がってるだろ、離してあげろよ」


俺の存在に気づいた彼はすぐに手を離し。

教室に帰って行った。


俺はすぐに双葉のところに近寄った。


「大丈夫か?」


双葉はその場で座り込んで。


「一ノ瀬君…… 怖かった」


双葉の顔を見たら。

涙がこぼれてて、泣いていた。


「とりあえず、これで」


俺は持ってたハンカチを渡した。


「ありがとう」




「落ち着いたら、お腹空いちゃた」


双葉が笑いながら言ってきた。

それでもまだ少し元気がない。


俺と双葉は、屋上に続く階段で一緒にお弁当を食べている。

さっきのことは、あまり聞かないことにしとく。

俺は自分のお弁当を食べていたら。


「一ノ瀬君のお弁当美味しそう! もしかして一ノ瀬君の手作り?」


「そうだけど。よく分かったな」


えへへと双葉が、照れていた。

ずっと見てたので。


「卵焼き食べるか?」


「いいの?」


俺は頷き、卵焼きをあげた。


「おいしい!」


おいしいと言ってくれて。

俺はなんだか嬉しくなった。


「一ノ瀬君て、料理が得意の?」


「得意というか。料理を作ってたら、自然と」


少し驚きながら、改めて俺の作ったお弁当を見ている。


「今度お弁当作ってきてあげよっか?」


少しでも元気になってほしいと思い、そう言った。


「本当にいいの?」


首を傾げ言ってきたので、俺はもちろんと返事した。

双葉は嬉しそうに。


「じゃー明日とかはお願いできる?」


「わかった」


元気になり、いつもの双葉だ。


「ありがとう!それじゃ明日またここで」


双葉はそう言い。

食べ終わったお弁当を片付け、嬉しそうに教室に戻って行った。


俺は教室に戻る前に一つやっておくことがある。


廊下を歩いていたら、ちょうどいた。


「ちょっといいか」


「さっきのやつか、なんだよ」


「次、双葉に近づき嫌なことしたら、あの屋上のこと言うからな。ちゃんと証拠用に録画してあるからな」


「わかったよ、もう近づかないし嫌なこともしねーよ」


有馬はそう言って、自分の教室に行ってしまった。

これで双葉には近づかなくなったな。

まぁ実際は、録画なんてしてないけど。

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