第13話
◇ft.雫
雫は今日も海渡と一緒に歌を歌う。けれど、海渡の傍で顔を出す勇気はまだ無かった。
それでも、海渡と歌う毎日は幸せで胸がいっぱいだった。
すると、雫の背中を突つく小魚達が雫に言った。
「ねぇ、雫。今日も顔を出さないの?」
「…うん」
「どうして?」
「あの人は、ずっと、雫を待っているよ?」
「でも、怖いの…」
「きっと、あの人なら大丈夫!」
「確かに人間は怖い生き物だけど、あの人は他と違うよね?」
一匹の小魚がそう言うと、周りの魚達も同意するかのように頷き合う。
(……勇気。主様も言ってくれたわ。もっと、勇気を出しなさいと…!)
雫はついに決心がついたのか小魚達に向かって頷く。その瞳には、もう怯えや恐怖という感情は無い。
「私、あの子の所に行くわ」
「やった!!」
「きっと大丈夫だよ!」
雫は恐る恐る海渡の近くまで泳ぎ、水面からゆっくりと顔を出した。
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