結婚してもうすぐ四か月。その前に、たぶん出会ってそろそろ十年。

 春ですねえ。

 2019年の、春です。


 新元号、令和、いいですねえ。

 この連載でも、いいなあって思って「令和元年春」とかしようかと思いましたけど――まてまて、いまはまだ平成だ、四月まで、と思い直して、やめました。

 でも、ほんといいですね、令和。

 どっかでさっそく使いてえ……。



 さて、私たち夫婦は、平成に生まれて平成に結婚しました。

 平成三十一年現在、平成生まれというのはつまり、いちばん上でも三十歳なわけで。

 いまの平均結婚年齢が男女ともに、とてもざっくり言って三十歳前後らしいということを考えると、そんなに多数派とは、言えないのかもしれません。

 じっさい、あんまりまだ周りの同年代のひとは結婚してはいないです。まあこれは私の周囲というミクロな話かもしれませんが……そろそろ増えてくる感じもありますけどねえ。


 私は平成四年生まれ。

 夫は、平成五年生まれです。

 そうです夫のほうが年下です。

 私はいま二十六歳、彼は二十五歳。

 驚くほど若くはないけれど、そこそこ若い段階での結婚でした。



 もちろん、それにはいろんなことがあり、四年まるまるつきあったということも、大きな決め手ではあったのですけど――たぶんずっと長く、すくなくとも親しい知り合いでいたことも、やっぱり、なくはなかったんだろうなあって。




 私と彼が出会ったのはおんなじ高校においてでした。

 私が高二、彼が高一というかまだ新入生のときです。

 文芸部にきた彼のひとつ上の先輩として、私は彼と出会いました。




 今回の四月で、ちょうど、十年となるのです。




 なつかしいです。なつかしい。高校のときって、そのときは自分ではもうすっかりおとなとおんなじと思ってましたが、いま振り返れば、めちゃくちゃ子どもでしたね。いま、私のほうは仕事でその年代のかたがたと接する機会も多いので、なんだかとてもいまなら俯瞰的にそう思います。

 やっぱり、子どもでした、まぎれもなく。



 そして、お互いのそういう高校時代、いわば後半とはいえ子ども時代、

 十代半ばのころからお互いを知っているということは、






 私にとっては、ときにものすごく、すくわれることだったのです。

 だって、どうしようもなかったころの私を、知られていた。いや。いまも、どうしようもないんだけど。もともと、どうしようもなかったことを、知られていた、といいますか……。





 もちろん、それだけではなく。

 単純に出会ったタイミングだけ、ではありません。

 けど。

 なのですけど。




 お互いけっこうむつかしいところもあるので、もう十年も離れる時期なくかかわりがあって、こうしてきた、ってところには、やっぱり、ひとつの、大きな信頼といいますか、なにかが、置けると、思うのです。





 にしたって、十年。

 十年かあ。




 やがては結婚十年! 何十年! とか、普通になってくるんでしょうけど、私にとってはまだ、十年って時間は充分感動できます。すごいねえ。そんなに長い時間、経ったんだなって、かかわってきたんだな、って、私は彼の十五歳だったころもこんなに鮮明に覚えているのに――。

 彼も二十五かってねえ。すごいなあって。思ってしまう、のですよねえ。

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