06 ツバサ・ライジング
26、旅の終わりで
異世界を救うための旅の終着点へ。姫乃達はとうとう、終わりの地であるセントアーク遺跡に辿り着いた。終止刻を終わらせるために、浄化能力を使用する姫乃。全てを終えた後で、勇気啓区はこの世界から消え去ることにした。
27、託す力
姫乃達を何度も助けた少年。仲間の一人であうるツバキは、闇の魔力に意思が宿ってできた、イレギュラーな存在だった。本来なら、終止刻を解決して、闇の魔力を浄化してしまったら彼も消えてしまう定めだった。しかし、勇気啓区は最後の力を使ってツバキを生存させる。「思い悩む必要はないよ、もともと消える予定だったから」啓区は姫乃達に別れの言葉を告げて、最後に「ありがとう」と呟いた。本音の欠けた彼には、そんな状況で自分の本心がどう思うかなど分かるはずもなかった。
28、明日の無い世界で
現実世界から消え去った啓区は、心まで消えるのには猶予があるのだと思い出した。広い庭園の中、出迎えてくれる人がいない世界を歩く。しかし、様々な旅の出来事を思い返す彼に、悲しみや未練はもうなかった。やがて刻限を迎えて、崩壊する世界のなかて、彼は懐かしい少女の声を聞いたような気がした。
29、知らない誰かと
異世界を救って、役目を終えた姫乃達は、多くの人々の力を借りて元の世界に帰還していた。しかし姫乃は、言いようのない虚無感を抱いていた。間違いなく異世界に転移してしまった全員を見つけて帰還したはずだというのに、何かが足りないような気がしていた。久しぶりに家に帰った彼女は、夢の中で知らない誰かと異世界を冒険する夢を見た。
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