✿君という猫

桜花おうかえば温厚おんこうな、わるえばにぶねこだった。

やさしいねこだったから、喧嘩けんかなんかしてるところたことがかったし、

イタズラを仕掛しかけても、全然ぜんぜんおこらないねこだった。

普段ふだんからぼーっとしてることおおかったし、よくていた。

それでも、わたしかけるときはかなら玄関げんかん見送みおくってくれたし、

どんなにおそくにかえってきてもかなら出迎でむかえてくれた。

桜花おうかているのを邪魔じゃましてあそぼうとしたときも、おこらないで一緒いっしょあそんでくれた。

ねこにしては、運動神経うんどうしんけいがあんまりかったしせいか、

屋根やねうえのぼるのがきみたいだったけど、よくちてきていた。

となりいえにわにあるいけちているのもたことがあった。

タンスのうえからちてきたこともあった。

おもかえしてみれば、桜花おうかちてばっかりのねこだったな。

ぼく第一志望だいいちしぼう高校こうこうかれたのは、桜花おうかわりに沢山たくさんちてくれたから

かもしれない。

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