第4話

イングーリ・モングーリ・ホロホロ・バッチャ・ダイバッチャ・アッチャイニ・コッチャイニ・ミチマヨイニ・千年王国2世さねあつ、これが大魔法使いの本当の名前です。少しばかり長い名前だと思われるでしょうが、実はそれほど珍しいことではありません。20世紀の世界的に有名な画家であるパブロ・ピカソなどは、もっと長い真実の名前だったりしますから。ただ、これからは短めにイングーリ師と呼ぶことにしましょう(それに真実の名前は何度も呼ばない方が良いみたいですから)。

占星術師はイングーリ師から真実の名前を告げられた時、感動のあまりに自分の体に再生の力が満ちてゆくのを感じました。ずれていた胃袋を覆っている香油の包帯からも、ほのかに良い香りがしました。きっとそれは占星術師の体温が感動で少し上がってしまったせいでしょう。

「おお、わがイングーリ師よ」占星術師はおさまらない感激で涙を流しながらいいました。

「共にこれより旅を始めましょう。たとえどのような苦難が立ちはだかろうとも、わが師の名前を聞いたからには、その赤心を思い出し、たちまち乗り越えることができるでしょう」赤心とは、うそ偽りのない裸の心をいいます。そして、占星術師はみずから名乗りをあげました。

「わが真実の名前、それはタオ・ルカです」

これでお互いが真実の名前を知ることになりました。よって、目的を果たすかどちらかが死ぬまで旅を共にする誓いがここに立てられたというわけです。

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