第71話 歴史改変事件(犯人確保後編)

 魔界時間8:45 魔界宇宙獣王界 タイムベルト地方時空管理局エリア時空資料館


 ビリー:ほむ?異世界転生監督庁いせかいてんせいかんとくちょうの職員をかの?


 ???:ええ、おそらく閻魔帳本体は歴史改変の影響で調べられない筈なので、歴史改変の影響を受けないそちらの資料室で職員とモーツァルトに関する関係性を調べてほしいのです。私の知人の推測が正しければ現在魔界宇宙各国で急増している異世界転生勇者被害が結びつくと思うのです。

 

 ビリー:ホイきた、それなら職員総出で調べてみようかのぉ♪


 ???:ご協力感謝します、ビリー・スロード伯爵。


『西暦1786年オーストリア ウィーン郊外廃屋内』


 イム:えっ?もう少しこの時代に残るってどういう事ですか⁉︎


 ゲン:あの女狐イザベラの作戦だにゃ。幸いにも黒幕はこっちの様子を伺う技術はあっても、カムフラージュを見破る技術にまでは辿り着けていないらしい。そこでにゃ、この時代で入念な捜査をするフリをして向こうの気を引きその間にだにゃ・・・


 全員に耳打ちするゲン


 ゼペット:成る程!それなら丁度良かった、実はこの時代でがあったのだ!黒幕の注意を引きつけるだけの価値のある実験だ!


 カナデ:私にもお手伝いできる事がありますか?


 ゼペット:勿論だ!君の広い音楽史の知識が必要になる!


 ゲン:決まりだにゃ。さて、は今頃上手くやってる頃だろうにゃ。


『現代魔界宇宙ヴェルナース帝国帝都クランケ都内古本屋』


 ???:いらっしゃい、何かお探しですかな?


 結衣:私は地獄界検事局じこくかいけんじきょく朝珠結衣あさたまゆいです。貴方はここの店主、エドガー・フェザリスさんですね?


 エドガー:ええ、そうですが。

 

 結衣:ここにを売りにきた者がいると聞いて来たのですが。何かご存知ではありませんか?


 読んでいた本を閉じるエドガー


 エドガー:そうですねぇ・・・あ、そういえば居ましたね。開店して2年くらいした時に人界のとても珍しい楽譜だと言って売りに来た方がいました。


 結衣:当然、鑑定はしたんですよね?


 エドガー:勿論、モーツァルト直筆の楽譜である事は一目で分かりました。


 結衣:歴史改変の影響は受けなかったのですか?


 エドガー:影響を受けていれば今頃私はここには居ないでしょう?


 結衣:た、確かに。どうやって歴史改変の影響を免れたのですか?


 エドガー:相手には専門外だからと言っておいて時空管理局に持ち込んでいたところだったので、ウォッチマン公爵閣下の持つ時の黙示録の保護下にあったので運良く無事でしたよ♪


 結衣:それで、現物は時空管理局ですか?


 エドガー:ええ、そうです。正確には時空資料館にですが。 


 結衣:因みにですが、売りに来た者の顔は見ましたか?


 エドガー:はい、ハッキリと。


 結衣:裁判でそれを証言してもらえますか?  


 エドガー:この緊急事態から魔界宇宙の皆さんを助けられるのであれば喜んで証人として出廷致しますよ♪


 結衣:ありがとうございます。


『同時刻 天界宇宙ドラット製薬グループ本社』


 レオパルト:なんだと!モーツァルトの楽譜が例の古本屋に無いだと⁉︎


 ???:この神はドラット製薬グループ社長レオパルト・ツェッペリン。種族は怪我や病気の回復に司る饒速日命にぎはやひのみことである。


 秘書:はい。売ったところまでは良かったのですが、そこの店主が専門機関での鑑定をした上で買い取るかを検討すると言い出しまして。 


 レオパルト:クッ!馬鹿者が、それがもし時空管理局か時空資料館だったらマズい事になるのだぞ‼︎


 白緋:ご心配には及びません社長、我々の目的は既に達しております。たとえここで逮捕されても今話題の閻魔大王によ♪


 レオパルト:そ、そうだったな。が証言してくれれば私達は無罪放免だったな♪


 白緋:その通りです、正義は我々にありますよ♪


 ???:ではその正義とやらを法廷で示してもらおうかにゃ♪


 警官隊が社長室内のレオパルト達を取り囲む


 レオパルト:4界宇宙特権課のゲン・サトウ警部!


 天界宇宙大帝ラクード直筆の令状を突き付けるゲン


 ゲン:ドラット製薬グループ社長レオパルト・ツェッペリン並びに開発部長一条白緋、歴史改変事件の主犯格として逮捕する!


 手錠をかけられ連行される去り際にささやく白緋


 白緋:貴方達には我々は裁けません、裁かれるのは不浄な魔族なのですから。貴方もいい加減、天界の神としての自覚を持ってください♪

 

 次回へ続く・・・



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