第59話 VSジョージ・ビルドルフ(初公判)

 境界時間10:00 4界宇宙統合司法裁判所第7法廷 初公判開始


 摩耶:それでは検察側、本件の説明を。


 結衣:はい、事件は2ヶ月前の天聖暦2020年3月26日8時50分タイタン建設グループ本社資料室にて発生しました。被害者は営業3課課長補佐の土屋建吾つちやけんご280歳。新たに建設予定の工場の設計図を探しているところを襲われ殺害されました。


 法廷の中央に浮かぶ3つの超巨大液晶モニターに映る設計図


 結衣:こちらが盗まれた設計図です。これらの設計図は確かに本社から無くなったものではありますが、ファイルのラベルに表記されているのは盗難にあったものです。しかしながら・・・


 映像を切り替える結衣


 摩耶:これは!


 ゲオルグ:(なっ!どういう事だ⁉︎)


 結衣:そう、ファイルの中身はだったのです。これは現在のローラント王国、旧カレイド王国次元エネルギー精製プラントの設計図です。ここで疑問となるのは他のファイルはラベルの表記されていた内容なのに、どうしてこれだけ違うものだったのかという点です。


 摩耶:確かにそうですね。


 結衣:被害者直属の上司である建山秀俊たてやまひでとし課長の証言によると、資料を入れているクリアファイルはという事を社訓の中でも1番重要視されていたそうです。それなのにこれだけは中身が全く違います。


 摩耶:そこまで徹底されているなら社内でも相当問題になっていた筈ですね。


 結衣:ところが一切責任を追及されません。何故か黙認してしまいます。検察側はこれらを含めて第4回公判にて追及していきたいと思います。


 摩耶:続いてヴァルキリー密造の件について説明をお願いします。


 結衣:はい、この件が発覚したのは4界宇宙統合国際警察権力犯罪強制取締課しかいうちゅうとうごうこくさいけいさつけんりょくはんざいきょうさいとりしまりか宛に届いたものから明らかになったものです。


 摩耶:その中身は?


 結衣:中身は一見するとネックレスなどを飾る台座に見えます、これは精巧にカモフラージュされておりますがその正体は・・・


 画面を切り替える結衣すると傍聴席が騒つき始める


 摩耶:静粛に、静粛に!これは・・・何かの胴体?


 結衣:そう、これはです。


 傍聴席が騒然となる

 

 摩耶:静粛に!ヴァルキリーの胴体ですか⁉︎


 結衣:特権課によるその後の捜査でこの胴体は天界宇宙にある旧天界軍要塞跡地の発掘現場から盗まれたシングルナンバーズの一体のものである事が判明しました。どのナンバーなのかは現在調査中ではありますが、いずれにせよこれを復元しようとしていた事には間違いございません。これにより、検察当局は地精重工グループによるヴァルキリー密造の容疑があると考えております。検察側からは以上です。


 摩耶:では一旦休憩を挟み午後より第2回公判を開始します。


 第2回公判へ続く・・・





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