第44話VSオリバー・ヴァンガード(証人喚問)

 ユリカ:遂に始まった御前裁判、今回の相手はいつもの弁護士じゃないからどう対処するのか気になるよね〜。


 境界時間10:25 御前裁判


 摩耶:では検察側、事件の内容の説明を。


 結衣:はい。事件は今から1ヶ月前の天界時間15時8分に、天界宇宙中枢である聖皇都エデンクラウンは外交省で殺神事件が発生しました。被害者の名は天界宇宙中央政府外交省のデニス・フォーマックス副大臣、死因は魂絶草こんぜつそうによる毒殺である事が判明。また、コーヒーに溶かして殺害する手口から天界宇宙検察庁は魔界宇宙で伝説とされた殺し屋、深淵の銀狼であると睨んでいる様です。


 摩耶:というその最後の言い方ですと、地獄界検察庁は深淵の銀狼の犯行ではないという風に聞こえますが?


 顧問弁護士:異議あり!検察側の説明は同胞である魔族を擁護ようごする発言であり、深淵の銀狼の犯行ではないという確証のない発言と思われます!


 結衣:(相手に付け入る隙を与えないくらいに喰らい付いてきたわね・・・でも)閻魔大王様、我々検察側にはがあります!


 摩耶:その根拠は?


 結衣:深淵の銀狼はただの一度として私怨で犯行を行った事がありません。更にその殺神の被害者は全てのために裁かれない悪党ばかり。その依頼人は決まって天界宇宙国際警察からのものでした。


 摩耶:け、警察からの殺神依頼ですか⁉︎


 結衣:この場合は警察内というより、という表現が正しいです。そしてその者からの証言から深淵の銀狼がという事が明らかとなりました。それを立証するために検察側は閻魔大王様に証人の召喚をしていただきたく。


 摩耶:分かりました。


 顧問弁護士:(深淵の銀狼の無実を証明出来る者・・・まさか!いや、そんな筈はない!あの時確かに口を封じた筈だ!)


 静かに瞑想をし証言台に向けて召喚魔法を使う摩耶


 顧問弁護士:(あ、あいつは!そ、そんなバカな!何故生きている⁉︎)


 摩耶:証人、名前と職業と種族を。先に言っておきますが、名前が分かればこの閻魔帳で直ぐに嘘が見抜けます。


 神凪:神凪勲かんなぎいさお天界宇宙国際警察神命課警部てんかいうちゅうこくさいけいさつじんめいかけいぶ、種族は死神族。


 名前から閻魔帳で検索する摩耶


 摩耶:合っていますね。それではナレーターさん、読者の方にご説明を。


 ユリカ:えっ、ここで振る⁉︎え、えっと。神様ってさ、基本寿命って無いじゃん?ほら永遠の命みたいな?でもそれだと神様が増える一方だよね、そこで天界大帝ラクード様は悪事を犯したにも関わらず不正に信仰値を集めてる神様にペナルティーとして罪の重さに応じて 罰を与えてんの。殺しを請け負うって事はその対象となる神様は相当重い罪を犯したって事ね。


 神凪:そのため執行者は神殺しの力を持つ者で構成されています。規則として天界の住人が行うのですが、天族にはその力を持った者は数えるほどしか居ない。そのため事態を重くみた国際警察上層部は100万年前から天界以外の者の執行者を採用する様になりました。


 結衣:つまり、深淵の銀狼はその執行者の1人だったわけですね?


 神凪:その通りです。


 顧問弁護士:異議あり!神命課の執行者であれば国際警察から発行された執行者証明証があった筈です。しかしながら、天界宇宙警視庁の調べでは所有していなかったとあります!


 結衣:それはいつの情報ですか?私が入手したでは他界宇宙の執行者の場合、証明証を持っていればターゲットに勘付かれる恐れがあると証明証制度を廃し魔界宇宙の最先端テクノロジーを採用したで判別出来る様になったのです。そうですよね?神凪警部。


 神凪:はい。


 摩耶:弁護側の異議を却下します。


 顧問弁護士:グッ! 


 結衣:(いつもの弁護士・・・誰だっけ?ま、いっか。そいつよりはかなり手強いわね)


 ユリカ:蘭子さん可愛そう。 


 顧問弁護士:その特別な方法とは何ですか?


 結衣:それは天界宇宙の機密事項なのでこの場では言えません、何故ならこの裁判の傍聴席の中にそれをが紛れいるからです。


 ???:(チッ!バレていたか)


 顧問弁護士:本当はそんなの無いのではないですか?それだと証人は偽証、検事さん、貴女はその共謀罪になりますよ?ここで教えて立証した方が良いのではないですか♪


 ???:(流石だ、これで知る事が出来る♪)


 閻魔帳で検索する摩耶


 摩耶:たった今閻魔帳で調べましたが、証人の証言と朝珠検事の言ってる事に嘘はなく、実際に存在してるそうです。こうして閻魔帳で事実が確認された今、当法廷ではその件に関してのみ証拠等の提示は不要とします。


 顧問弁護士:(クソッ!)


 ???:(相変わらずあの閻魔帳は厄介だな)


 摩耶:では朝珠検事、続きを。


 結衣:はい。次に犯行の手口ですが、検察側はここで次の証人の召喚を要請します。


 摩耶:分かりました。


 摩耶の召喚魔法により証言台に空間転移する狼男


 摩耶:証人、名前と職業、そして種族を。


 ディザ:名前はディザ、職業はエデンクラウン近郊にて喫茶ウォルフレッドを営んでおります。種族は人狼族です。


 結衣:貴方は天界宇宙国際警察神命課に属する執行者を引退したという事ですが、それはいつ頃ですか?


 ディザ:引退したのは99年前、表向きは殺し屋という事で通っておりました。


 結衣:それは何故ですか?


 ディザ:神命課の執行者である事を隠す必要があったからです。普段から依頼を受ける時はそれらしく取り引きしていました。


 結衣:神命課の死刑執行の内容は機密事項だからですか?


 結衣の問いかけに静かに頷き答えるディザ


 ディザ:そうです。


 結衣:という事はディザさんは本件とは無関係という事で間違いありませんね?


 ディザ:はい。そこでいつもの取り引きを装ってそこの神凪警部よりUSBメモリーを受け取りました。


 結衣:その内容は?


 ディザ:今回の殺神が私の犯行ではないという事を証明するものでした。


 結衣:それを持ってますか?そしてそれを公開しても?


 ディザ:構いません、むしろ警部が調べてまとめてくれたものですから。


 結衣にUSBメモリーを渡すディザ


 結衣:では早速・・・


 法廷内にある3つの超巨大スクリーンにUSBメモリーの内容を表示する


 摩耶:これは⁉︎


 結衣:皆さんから向かって右のモニターに映っているのがディザさんの犯行手口、そして左のモニターに映っているのが今回の犯行手口。これを見比べたらもうお分かりですね?


 摩耶:一見同じに見えますが、犯行に使われたコーヒーと魂絶草の入手ルートが違いますね。


 結衣:そう、ディザさんが普段執行する際に使うコーヒーは魂絶草の代表的な特徴でもある独特の苦味を消す効果のあるローズレックという品種のコーヒー豆。ですが、本件に使われたのは魂絶草の効果を高めるソウルビレックという品種のコーヒー豆を使用しております。


 摩耶:ローズレックは魂絶草の苦味を消しますが効果は変わらず、ソウルビレックは苦味は消せませんが効果を最大限まで高める。普通なら異常な苦味で直ぐに分かるものですね?


 結衣:そうなのです。そして次に犯行の手口ですが、ここでが生じます。


 摩耶:矛盾点?


 結衣:はい、そのためには先ずディザさんの手口を見てください。魂絶草の入手ルートが天城製薬てんじょうせいやくから買っています。天界宇宙の法律では定められた量以下での使用は申請すれば購入可能です。コーヒー豆の種類の中には魂絶草の殺傷効果を消し、体に良いとされる薬効を引き出せる品種があるそうですね?  


 ディザ:はい、ライフリーズという品種です。私の喫茶店では薬膳コーヒーとしてお出ししているので天城製薬から正規の手続きをして仕入れていました。


 結衣:つまりそれなら大量に仕入れても使用目的がはっきりしいるので誰にも怪しまれる事はありません。問題は本件の魂絶草の入手ルートです、本件では薬学庁からとなっているのです。


 摩耶:確かに変ですね、どうして本件だけ入手ルートが違うのでしょうか?


 結衣:その疑問を解決するのはこの被害者の部屋から発見されたUSBメモリーです。ここには被害者と薬学庁関係者との密輸等が記されていますが、この内容だと入手したのは薬学庁関係者で実行犯と黒幕が被害者となっていますが、ここで1つの矛盾点がまた生まれます。


 摩耶:仮に事件が明るみになりそうなら始末されるのは被害者ではなく、その薬学庁関係者。なのに被害者は殺害された。


 結衣:そうです。しかもその薬学庁関係者が殺害されています。


 摩耶:・・・あっ!両方殺害されるにしてもだ‼︎


 結衣:その通り、真の黒幕がいたとしても順序が逆なのです。そこで登場するのが・・・


 摩耶:本件の被告神ひこくにん、オリバー・ヴァンガード氏ですね?


 結衣:はい、被告人のヴァンガード氏と被害者のフォーマックス氏には接点がありました。それは・・・


 審議へ続く・・・



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