第14話聞き込み調査

 ユリカ:殺神事件さつじんじけんを追う朝珠検事。犯行現場にあったシーサイドバーのマッチの持ち主を洗い出すべくマトさんと共に向かうのでした。


 魔界時間21:00 ロイヤルズ島南部シーサイドバー『ブルーナイト』


 ウエイター:いらっしゃっいませ。朝珠様ですね?


 結衣:ええ。


 ウエイター:こちらへどうぞ。


 ユリカ:カウンター席に案内される結衣さん。そこにすんごい美人が飲んでたよ♪


 結衣:さてと。


 結衣のもとに一杯のカクテルを渡すバーテンダー


 結衣:ウエルカムドリンクかしら?


 ウエイター:いえ、あちらのお客様からです。


 結衣に手を振る美女


 結衣:ん〜?


 美女の背後に立ち頭をジッと見つめる結衣


 美女:私の頭に何か?


 頭の何もないところを掴む結衣


 美女:イ、イタタタッ!


 結衣:・・・・やっぱり、何やってんのよ『デレク』


 変身を解くデレク


 デレク:いや〜、流石は結衣姐さん。す〜ぐ見破るんだもんなぁ♪


 ユリカ:この男か女か分からん様な奴の名はデレク。種族はドッペルゲンガーとアルラウネ族のハーフ。自称投資家らしいんだけど・・・怪しいんだよね〜。


 デレク:酷いな〜ナレーターさん。ボクこう見えて立派な投資家だよ〜。だから投資で儲けたお金でこうして完全予約制の高級シーサイドバーで飲めるんじゃないの♪


 デレクの頭の花を再び掴む結衣


 結衣:親の残した莫大な遺産で悠々自適な生活やってるニートの間違いじゃないかしら〜♪


 デレク:イ、イタタタッ!だから頭の花掴まないでって!投資家はホントだもん!


 結衣:で、何しに来たの?ただ株主優待で来てるってだけじゃないでしょう。もしかして『本業』絡み?


 デレク:両方♡


 結衣:本業でも来てるんならもしかするとあなた殺神事件の片棒担いでるかもしれないわよ。


 デレク:今この島で起こってる天雷電力グループ元営業部長殺神事件でしょ?それだったらボク無関係だよ。だって仕事は『3か月前』に終わってんだもん。


 結衣:そうなの?因みに仕事内容は?依頼主が誰か言わなきゃ守秘義務に反する事はないでしょ?


 デレク:まぁ、依頼主が誰か言わなきゃね。仕事内容はね、『自分でも出来る変装方法を教えてくれ』だよ。


 結衣:それって依頼主が有名人って事?


 デレク:う〜ん、その場合有名人は『人』じゃなくて『神』の方ね。


 結衣:天界の有名神ゆうめいじん・・・それってこのひと


 画像を投影する結衣


 デレク:うん、この神だよ。


 結衣:アンタ。この神、天雷電力グループのデイビッド・スパークマン副社長よ。


 デレク:え⁉︎


 マト:デイビッド・スパークマン。天雷電力グループ内で改革派のトップ、クレイヴ・ボルテック常務取締役と争っていた保守派のトップだね。


 結衣:確か殺害された元営業部長のジャック・クラインさんも改革派の1ひとりだったわね。


 デレク:そもそもその2柱は何を争ってたの?


 マト:調べによると。天雷電力グループ内では、ここ魔界宇宙の技術提供による次元エネルギー産業に切り替えようという改革派と、これまで通り水力、火力、地熱、風力の電気エネルギーでいく保守派との経営方針で争っているんだ。


 結衣:改革派は魔界宇宙の技術提供が本格的に導入した上での次元エネルギー運営なら限りある資源の無駄を無くし、永遠に安全に使えて格安で消費者に提供出来ると主張している。


 マト:それに対して保守派は次元エネルギーは精製プラントで事故を起こせば次元大震災という大災害を引き起こす危険性があるから自然界のエネルギーを使う電気エネルギーが安全だと主張してるんだ。


 結衣:天界宇宙の裏社会を牛耳っている龍神族によるドラゴニックマフィアの1つ、黒峰組がこの前の4界宇宙大法廷で裁かれて以降、保守派は黒峰組と結託して『わざと』次元大震災を引き起こし改革派を一掃しようとしたんじゃないかって報道されてるくらいだから今保守派は立場が危うい状況なの。


 マト:加えて社長のフレデリック・エネルゴン氏は保守派に加担してるらしく。社長の座が危ういとも報じられてる。


 デレク:じゃあ、変装して被疑者のドナルドさんを犯人に仕立て上げるために通行人を装って誘い出したのがその副社長だとしたらジャックさんを殺害した実行犯は誰だろう?


 結衣:そ・こ・で、あなたの番よデレク♪


 デレク:あんま良い予感しないんだけど。


 結衣:天雷電力グループ本社に潜入して内部事情を聞き出してほしいの。地獄界検事局からの正式な依頼だったらアンタの『犯罪以外の依頼を受ける』ってポリシーには反しないでしょ♪


 デレク:ズルイよ〜、結衣姐さんそういうの上手いんだから〜。


 結衣:報酬は弾むから♪そうね・・・これくらいでどお?


 『提示額2000億ヘルネス』


 ユリカ:ヘルネスは魔界宇宙の共通通貨で2000億ヘルネスは日本円で2兆円ね♪


 デレク:マジで⁉︎やる、やっちゃう♪


 結衣:じゃ、決まりね♪・・・あ、忘れるトコだった!ウエイターさ〜ん!


 ウエイター:はい、何でしょう?


 結衣:このマッチ、誰に渡したか分かります?


 ウエイター:申し訳ありません。当店ではお客様のプライバシーに関する事は・・・


 4界宇宙統合司法裁判所からの令状を見せる結衣


 結衣:教えてもらえるかしら?


 ウエイター:そういう事でしたらお調べしますので少々お待ちください。


 10分後・・・


 ウエイター:お待たせ致しました。この日時ですと、デイビッド・スパークマン様です。


 結衣:やっぱり、1柱で?


 ウエイター:いえ、お連れ様がお2柱。


 結衣:その内の1柱はこの神じゃなかったですか?


 フレデリックの画像を見せる結衣


 ウエイター:はい、この方で間違いありません。


 結衣:そのもう1柱の特徴は?


 ウエイター:コート姿にサングラスをかけており、帽子を被っておりました。微かに神気しんきを感じたので神族で間違いありません。


 結衣:そいつが実行犯ね。・・・マト。


 マト:そのコートの神物じんぶつの正体を探る・・・ですね?


 結衣:頼んだわよ。


 デレク:そんじゃ、何かあった時はフォローしてね♡


 マト:善処しよう。












  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る