「カクヨムWeb小説短編賞2023」創作フェス、終了!

   

 今日のお昼で「カクヨムWeb小説短編賞2023」創作フェス3回目の締切となり、創作フェス全体の期間も終了となりました。

 皆様はどれくらい参加して、どれくらい楽しめたでしょうか? 書く方では参加しなかったけれど読む方だけで楽しんだ、という方々もおられるでしょうね。


 3回目のお題発表の際も、私はそれまでに昼食を済ませて、すぐにお題を確認できる状態にしていました。

 ただし食事の後片付けまでは終わっていなかったので、食器を洗ったりしながら考えて……。

 とりあえず12時半頃から書き始めて午後1時過ぎに投稿したのが、こちらの作品です。


『卓と蘭の秘密』

https://kakuyomu.jp/works/16818023211914850104


 奇抜な発想でも何でもないので、ネタ被りも多そうな内容です。まあ「とりあえず」という感じの投稿ですね。

 1回目お題も2回目お題も2作品ずつ投稿しているので、今回も複数投稿するつもりで、この時点では「2作品目こそ頑張ろう」と思っていたのですが……。

 そもそも「秘密」というお題が広過ぎて、かえって難しいと感じました。お題発表の「お知らせ」でも、


>小説では、密かに想いを寄せる恋物語や秘密のキーワードが謎を解くカギとなるミステリーなどが


 と書かれているように、相手に対して恋心を隠していればそれだけで「秘密」になるし、そうではなくお互いに承知の両想いでさらに付き合い始めたとしても、それを周囲に隠していれば「秘密」になる。そう考えると、恋愛ジャンルならば大抵の作品には「秘密」要素が含まれそうに思えてきます。

 また「ミステリー」ならば、どんな謎であっても最後に解明されるまでその真相は「秘密」のはず。例えば犯人は自分が犯人であることを「秘密」にしていますし、探偵側も途中まで捜査状況を犯人に対して「秘密」にしているはず。ならばミステリージャンルも大抵の作品には「秘密」要素が含まれそう。

 先ほどの「お知らせ」にあったので恋愛とミステリーを例に挙げましたが、他のジャンルの場合でも、作中で「秘密」を持っているキャラが登場する物語は多いというか、逆に「秘密」のないキャラばかり出てくる作品なんて少ないような……。

 そんなことを考えていくと、かえって漠然とし過ぎて、何も思いつかなくなりました。


 ならば少し視点を変えて。

 実は今回、お題発表の直後、私はこんな自主企画を立てています。


【勝手に三題噺】「スタート」「危機一髪」「秘密」【短編賞創作フェス3回目】

https://kakuyomu.jp/user_events/16818023211913445326


 昨年春のKACイベントの際に立てた自主企画「【KAC20237】前回までのお題も使いました【七題噺】」と同じような企画です。あの時と違って今回はお題が三つなので、まさに「三題噺」としてピッタリ。

 これがあるので、私自身も「秘密」に加えて「スタート」「危機一髪」も含めて考えてみようと思って……。

 頭に浮かんできたのが、こんな物語です。


 物語の始まりは「エンジン出力が足りない! これでは大気圏を離脱できない!」「定員オーバーだ! 10人乗りのロケットで11人は無理だったんだ!」みたいな会話から。

 主人公の女性を含む11人グループが、虐げられている惑星から逃げ出して、どこか別の惑星で新生活をスタートさせよう。そんな場面です。

 いきなりのピンチですが、11人もいれば中には機械関連に詳しいメンバーもいて、宇宙船の機関士っぽい役割をこなしてくれました。危機一髪で惑星からの脱出に成功。

 こうして「どこか別の惑星で新生活をスタート」「危機一髪で惑星からの脱出に成功」という形で「スタート」「危機一髪」を処理して、残りの「秘密」は……。

 実は主人公には秘密があって、彼女はグループを虐げてきた体制側と裏取引をしていました。「グループの残り10人を売り渡すことで、自分1人だけ助けてもらう」という密約です。

 そんなわけで、新天地に到着したはずのロケットから降りてみると、彼らを待ち受けていたのは体制側の役人たち。そこは彼らをこき使うための奴隷惑星でした。

 ここで主人公は密約があったことを明らかにして、自分だけ助けてもらおうとするのですが……。

 体制側の役人は却下。「騙したのね!」「いや、取引の条件が不成立なのだよ」ということで、さらなる真相が明かされる。実はロケットに乗っていた11人の中に人間は10人しかおらず、残りのひとつは体制側が紛れ込ませたアンドロイドのスパイ。だから「主人公を除いて10人」は成立せず「主人公を含めて10人」となり、主人公も含めた10人が、体制側に奴隷として引き渡されるのでした。

 バッドエンドで物語は終了です。


 ……と、そこまではすんなり浮かんできたのですが。

 これを実際に書こうと思ったら、まず問題となりそうなのが「11人も登場人物を出して大丈夫なのか?」ということ。それほど大勢のキャラを設定したり書き分けたりするのは、私の手に余る気がします。

 まあ11人に拘らなければ良いだけなのでしょうけど、でもSFとか宇宙船とか考えた時点で頭に浮かんできたのが「11人いる!」という言葉ですし、それを作品タイトルに含めて、オマージュっぽい話にしたいのですよねえ。

 元々が11人のグループでは「10人のはずのチームに11人いる」という漫画のオマージュにはならないでしょうが、でも真相としては「11人ではなく人間は10人だけだった」というものなので元々は10人。そこに意味を持たせたいとなると、やっぱり11人に拘る必要が出てきて……。

 もうひとつ問題になるのが、上記プロットそのもの。新天地へ脱出したつもりが内通者に裏切られて、しかもその内通者も最後に……という話ならば、以前に『密航者の中の密告者』というタイトルで書いことがあるのです。

 せっかくの「お題に基づいて即興で執筆」というイベントで、既存作のリメイクみたいなものを書くのは何だかもったいない。というより、そういうことをし始めたらキリがない気がする。

 というわけで、この『10人乗りの宇宙船に11人いる!』(仮題)は没。新たに考えることにして……。

 ハッピーエンドよりもバッドエンドが好きな私にしてみれば、お題みっつのうち一番厄介なのは「危機一髪」。なにしろ「ギリギリで助かった」というハッピーな方向性にする必要がありますからね。

 そこで「危機一髪」から最初に考えることにしたら、自然に浮かんできたのが異世界ファンタジー。ほら「モンスターに襲われて危機一髪で助けられる」というのはありがちなシチュエーションでしょうが、まず「モンスターに襲われて」の時点でファンタジーになりますし、異世界ファンタジーならば勇者とか冒険者とかも定番なので、それらを助けるがわとして使えるはず。

 そんな発想から出てきたのが、こんな物語でした。


『森の奥で助けた美女の正体は』

https://kakuyomu.jp/works/16818023211922453035


 内容的にはお題消化だけで手一杯な感じなので、これも「とりあえず」感が否めません。でも一応は3回目お題でも2作品書けたし、片方は三題噺にもなったので、これで満足しておくことにしました。



 なお、先ほどの「自主企画を開催しました」という話。

 自分が書く前に読むと影響されそうなので、創作フェスの期間が完全に終わってから、参加作品を読み始めたのですが……。

 作中に「スタート」「危機一髪」要素が見当たらない作品がたくさん! 中には、言葉としては使っていないけれど作者のページまで行って近況ノートを読んでみたら「『スタート』『危機一髪』要素も入った」と書いてあるし、確かに内容としてはそうなっている……みたいな微妙な作品もあったりして、確認に手間取りました。

 結局20数作品、全体の7割以上を「企画趣旨に合致しない作品」として削除する結果になりました。

 こんなことならば企画を立てた時点で「タグに必ず『三題噺』と入れておいてください。それ以外は削除します」と書いておけばよかった、と後悔しました。「確認に手間取る」という労力も嫌ですが、企画趣旨と違う作品でも確認のために読まざるを得ないのが、何だか癪に触るのですよね。

 以前に「【KAC20237】前回までのお題も使いました【七題噺】」を立てた時は、これほど酷くなかった気がするのですが……。それは私が当時のことを忘れているだけ? あるいは今回の企画タイトル「【勝手に三題噺】「スタート」「危機一髪」「秘密」【短編賞創作フェス3回目】」がそれだけ紛らわしかった、という証でしょうか。ついつい「『三題噺』と明記しておけば大丈夫」と思ってしまいましたが、案外「『三題噺』とは三つのお題全てを使うもの」という概念が一般的ではなく、それでは説明不足だったのかもしれません。もちろん「企画内容」欄ではさらに説明したつもりですが、そこまで読まずに企画名だけで飛びつく方々も多いでしょうからね。



 私個人の話は以上として、今回の「カクヨムWeb小説短編賞2023」創作フェスは、カクヨム全体としてはそれなりに盛況だったようです。

 検索すると、現時点で「短編賞創作フェス」タグが付いているのは2170作品。その中には締切以降に投稿された作品も含まれていますし、きっと他にもレギュレーション違反の作品がありそう。だとしても、今回のイベントを機に、1月9日正午から本日昼までの丸9日間で、新たに2,000作品以上が投稿されたのでしょうね。

 ちょうど今日の午後6時、Twitterのカクヨム公式アカウントでは、またカクヨムコンの応募総数に関するつぶやきがあり、今回は「応募総数が26000作品を突破」となっていました。

 前回の同じようなツイートは、1月13日の「24000作品を突破」ですから、今度は5日間で2,000作品。ひとつ前のエッセイで記した「3日か4日で1,000作品ずつ」「毎週約2,000作品の増加ペース」よりも若干ハイペースであり、それこそ今回のイベントの効果だったのでしょう。

 ならば、今後は少しペースが落ちるのか、あるいは駆け込み応募が多くて、このままのペースで最後まで行けるのか。私が勝手に「カクヨム側で目標としているであろう応募総数」として想像しているのは3万でしたが、そのラインに到達する可能性も出てきましたね。

   

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