第3話 持ち帰った薬草を調合

近年の化学薬品は進歩している。しかし化学の力でも治せない強力な薬がある。

それがアロマテラピー香りで心を癒し調合次第では肩こり、腰痛、筋肉痛を癒し万能薬とされている。


これをもちいて整体とアロマテラピーを同時に施行するとほぼ完治状態までに至る

なお、この業務を行うのは3年生の業務である。


2年生はホテルの業務を行い手の空いた者達は邪妖精を引率する先生と生徒たちで鎮める


1年生は薬草を集め調合して学園で売るか。

もしくは、できの良いとホテル側が買い取ってくれる売れる物であればどんな物でも良いとの事


■■■■


一方、陽月たちは学園に戻り薬草を先生に預けて寮に戻る。

寮は学園の離れにあり、すぐに登校できるようになっている。


寮内は食堂やコンビニと書店、生活には不自由はしない。

山1つを所有しているクロエは殆どの業者を

寮内やホテル側に手配している。


ホテル側が相当儲かっておりその成果を出し

業者が使ってくれと言って来るのだと言う。


それはそのはずである、異世界の住人や現地の住人を総まとめ役クロエの顔が広いことで有名なのだから。


なぜここまで、クロエが有名かと言うと

このホテルは療養所として使われていて、

温泉とマッサージや娯楽施設がそろっており

病院で身体が動かないと断られた患者がこのホテルを使用して歩けるようになったり

あり得ないことが起きるのである。


しかし、クロエの夫はこのホテルで精神病棟におり完治できないでいる。

クロエがこの世界に来た時はまだ戦時中でクロエは日本の兵隊長に保護されて恋愛結婚に至る。


クロエは異世界で輪廻転生の書を手に入れて

その過程に全知全能の書が必要になり、封印を解いてしまった。


その際、全知全能の書に魔力をコピーされて

シロエが作り上げられた。

輪廻転生は成功したが、クロエのコピーと全知全能の書の作者の魂までコピーされていた


初めは無害な人物であったが回復魔法を使用するたびに精神に支障をきたしてしまう!

クロエの夫が大怪我をしてしまい、シロエが

大怪我を癒して双方とも精神に支障をきたし

クロエの夫は自分がだれであったのか覚えていない状態にある。


クロエにはありがた迷惑な話しである。

解毒剤を作るが殆ど効果がなくシロエにも治療のしかたは分からなかった。


クロエはシロエを許せない気持ちと助けてもらった恩が入り混じりシロエを嫌う理由となる。


(あぁ!やっとこれでワシの願いが叶う)

校長室で椅子に座りボソリと、クロエはつぶやく


教室ではおおとり先生の講義が始まっていた。

実際の薬草をフラスコに入れそれを火で炙り

蒸気を冷やし、その液体が精油になる。

原液はそのまま使うと危険なので無水エタノールで薄めて使用して効果を発揮する。


「では、今日はレモングラスとラベンダーと

ブラックペッパーの精油を作ります。」

鳳先生は薬草を各班に渡す、班は莉土りと楓月そうげつ

もう、1班は陽月と樹で各班にわかれる。


薬草をフラスコの中に入れて蒸気をゴム状のホースでフラスコを密閉して精油を作り出す

作業になる。


「樹くん、よろしくお願いします」


陽月は右手を差し出して握手を求める。

しかし樹は照れて手を出せないでいる


遠くから見ていた莉土りとは樹に近寄り莉土りとは樹の手を強引に陽月に握りさせる。


「ふん!握手くらいしなさいよ樹。」

(まったく!世話のかかる弟だこと。)


「お節介なやつだなぁ莉土りとちゃんは」


楓月そうげつは遠くで莉土りとに聞こえるようにわざとからかう。


「うるさいわね!楓月、早く薬草の準備しなさいよ。樹に負けるでしょ」


照れ隠しを誤魔化しながら莉土は準備をする


(いや、競争じゃないから)


フラスコとガスバーナーとフラスコを固定するクランプを用意してコルクに穴が開いている所なゴムホースを伸ばして別のフラスコに繋ぐと蒸気がゴムホースを伝って水滴に変わるこの方法で精油を作る。


作り終わった精油はそのまま使用すると皮膚が被れて危険なので無水エタノールで薄めて使用すると効果があり単品でも効果はあるが

今回はブレンドして使う。


「さあ!窓を開けて作業開始」


おおとりは手で合図をパンと鳴らし、みんなに指示を出す。


莉土りとはリヒトを連れて来たかったが嗅覚が敏感なリヒトには酷なので陽月が止めた、リヒトはクロエ校長が預かり世話をしている。


フラスコの中に薬草を入れガスバーナーで炙り精油を作り各自、悪戦苦闘していた。

莉土りとが扱うガスバーナーの火力が高くフラスコが割れて失敗。


実は莉土りとは武術の稽古に力を入れいて、アロマテラピーをいっさいやった事がないようだ


陽月は祖父母に習っていた為、難なくこなす


「陽月あんた!やるわね〜こんな細々と作業はわたしには無理だわ!」


「そんな事ないよ、莉土りとちゃんにもできるよになるよ。」

(おそらく、小瓶に入るくらいの量を作るんだよね。この薬草の量だと)


陽月は良く祖父母と作っていた時の頃を思い出し昔使っていたノートをポケットから取り出し、材料を確認する。


(なるほど!この材料だとアレを作るんだ、だけど小瓶じゃなくてプラスチック製のスプレー?)


昔は塗り薬が支流だったが今やスプレーで癒してしまう薬もあるらしく、勿論スプレーした後に塗り薬をすれば更に効果的なのだ。


それを見ていた、楓月そうげつは手の甲を眼に当て

莉土りとの奴ウロウロしゃがって)



「では、一通りできましたね!」


鳳先生は出来上がったのを確認して作業を終わらせる。


できた薬品は成分を調べて、売ることもでき

自分で使用することもできる。


「まずは、君たちは若いから筋肉痛にはならないと思うがなってる人はいるかな?」


周りを見渡すが筋肉痛になってる生徒はいないようだ。


「では、今日はホテル側の医療班の見学に行きます。」


おおとり先生は黒板の横にカードを通す窪みがあり教員カードを通すと黒板の中央から真っ二つに分かれ、そこから扉が現れた。


「ここから先はホテル側になるので失礼のないようにお願いしますよ」


扉を開くと一階のロビーの案内所にたどり着いた。


案内所には獣人の猫がいて鳳を見つけて軽く挨拶をする。


「おはようございます。おおとり先生、今日はどちらへ?」


「おはよう!ショコラ君、今日は授業で救護班の方へ向かうところだ。許可証を貰いたい」


おおとり先生、今日は救護班の見学ですか!了解しました。こちらが許可証になります」


ショコラと言う猫の獣人は銀色のカードキーを鳳に渡す。


「ショコラ君、ありがとう。また来るよ」


鳳は軽く挨拶をしてその場を離れる。


「さて!君たち4人は今から救護班の見学に行って怪我人の介護助手をやってもらう、ウチの学校は異世界や現世の客が来る所だ。覚えてもらう」


おおとり先生が話すには授業の一環として医者の介護助手を手伝う授業らしい。


「えぇ!やったことないよ。」

患者は3年生の生徒で卒業間近で休みが取れる生徒がベッドの上に寝かされている。


「お!今年の1年生か、4名だけなんだな」

ガタイの良い男が話しをしてきた。


「よろしくお願いします!先輩方」


代表として樹が握手を求めて樹が挨拶をする


「俺はクロエ校長先生からマッサージを直に教わってます、このスプレーも1度使ったことがあります」


少し自信気に誇る樹、クロエ校長は樹と暮らしており普段からマッサージをしているようだ。

(俺は婆ちゃんに普段からマッサージをしていて触診を手に入れた)


触診とは触った箇所がどこが凝りがあるか直ぐに解るようになる


「陽月手伝ってくれないか?俺1人だと時間がかかる、できる範囲でいいから」


樹は陽月の両肩に手を乗せて陽月の手伝いを要求する。


「あわわ!私はマッサージなんてした事ないので役に立てないかもです。」


強引に両肩に手を乗せて来た樹に陽月は少し後ずさり樹の手を振り解く


(慌てて振り解いて嫌じゃなかったかなぁ?

あっ⁈それとお婆ちゃんから香をもらってたなぁアレを使えばリラックス出来るかも)


陽月の祖母は海外から日本に渡り日本に永住権を取得しておりアロマテラピスト[アロマテラピーの専門家]であり当時は西洋の魔女とまで言われて近所で医療院を開業している


「樹くん、私お婆ちゃんから貰ったお香を焚くね」

家を出る数日前陽月の祖母はお香の使い方を説明していた。

「いいかい、陽月お香はマッサージする際とても重要な役割があるお香と言っても怒りや不安を取り除く要素があるだよ。例えばラベンダーの香を焚くと不安な心をリラックスさせたり、オレンジの香りだと心が元気になる

相手をよく見てお香を焚くときは気おつけるんだよ」


陽月の祖母はマッサージやお香のスペシャリストでまずはお香と精油の調合のやり方を幼い頃から教え込まれていた。


先輩達は顔色が少し悪く沈んでいる先輩もいた、陽月はそれを見て見逃さなかった。


(アレは精神的に疲れが溜まっているんだ先輩達は身体付きが良く体力はあるので間違いない)

よく見ると休憩室の壁には倒流香の陶器があり形は龍の頭にお香を焚くと龍の口から煙りが床に向かって流れ始めるお香はラベンダーの香りを使った。


「うわぁ〜何それ陽月、幻想的で綺麗なんだけど!それにとても良い香り癒される〜」


初めて見る莉土りとは興味津々で両手を組んで感動している。


マッサージが1人終わり、2人目が終わり次々と先輩達は余りの気持ち良さで寝てしまう。


楓月そうげつはフリードリンクコーナーから眠気覚ましのちょっと苦目のコーヒーを用意していた


お香には人体に影響がないタールが含まれておりタールは空気より重いので下に煙りが流れるようになっている。


そのため、ここの休憩室には床に目立たない換気がされる通気口のアナが所々に設けてある。


寝てしまった先輩達を優しく起こす莉土りとと陽月は楓月そうげつが持って来たコーヒーを飲んで眠気を覚ます。


「先輩お疲れ様でした、僕が触診した所特には悪い所はありませんでした。マッサージさせて頂きありがとうございました!」


樹は先輩に気分が悪くならないように挨拶をしてマッサージを終わらせる。


それを見ていたクロエ校長は満面の笑みを浮かべ採点を始める。


「さあ!皆さん手帳を出して、MP《魔女ポイント》を配ります。」


クロエ校長は手帳を読み取る機械をテーブルの上置き手帳を置くように皆に指示をする。


まずは樹、次は陽月その次は楓月その次は莉土の順番で手帳を置いていく。


樹500MP、陽月500MP

楓月250MP、莉土250MP


先輩達にはホテルならどこでも使える無料食事チケットが配布された。


「流石だね!クララの孫だよ、まさかお香を焚いて場を和ませる技術おそれいったよ。樹に関してはこれぐらい出来て当然じゃ楓月そうげつはその気遣いが出来る自分に何が出来るかを先読みができるのは良いね、莉土りとはもう少し自分に何ができるかを考えて行動する事、先輩達が業務に間に合わせる為に早めに起こすのは良かったよ」


ホテルの授業は終わりおおとり先生は外から生徒たちを細かくチェックしていた。


陽月たちはお昼という事もありホテル内の食事をするように案内係ショコラに食堂を案内させていた。


「どうだい?おおとりあの4名は鍛えがいがあるだろう!」

クロエ校長はおおとりの横に立ち話しかける。


「そうですね!僕の見立てだと莉土りとには評価してますよ今回は残念でしたが封印の獣の話を聞いた時はびっくりしましたよ」


封印の獣は魔法を吸収し手に負えない、そのため魔力がない莉土りとは掌底で仕留め事なき終わった。


「そうだのう!莉土りとには評価するがこの学園では辛いかもしれんのう」


「お時間あれば食事でも行きませんかクロエ校長」


おおとりは食事に誘うが断られ1人で食事をする事になった。

(あわよくば、奢ってもらおうと思ったのに)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る