砂漠の地下には石油などの地下資源だけでなく、人類にとって貴重な、とても清潔な地下水なども豊富に蓄えられているとすごろくは考えていた。その膨大な量の地下資源を発掘するのが、木登すごろく博士が率いるこの木登発掘隊の主な仕事だった。

「おじいちゃん。砂漠の地下には、地上よりも、もっと清からな世界が広がっているの?」とこまは言う。

「そうじゃ。そうじゃよ」そう言ってすごろくは笑った。

 こまはすごろくから砂漠や砂漠の地下についてのいろんな話を(だいたいは眠りにつく前のお話として)聞いていた。

 すごろくと一緒に並んでオアシスの草むらの上に座っていたこまはすくっとその場に立ち上がった。

「どうしたんじゃい?」

「ちょっとお散歩してくる」

 そう言ってこまはすごろくおじいちゃんの元から駆け出して、テントに向かって走り出した。

「あまり遠くに行き過ぎないように、気をつけるんじゃよ」

 こまの後ろですごろくが言った。


 こまは息を切らして砂漠の上を走っている。

 ずっと一人。

 ずっと、こまは自分と同年代の友達が欲しいと思っていた。

 こまは二階建ての大きなテントの中に入ると、研究室兼臨時の仕事場、あるいは作業場となっているテントの一階の(二階は居住スペースになっている)隅っこのほうに置いてある木製の机の上にあった四角い正方形の真っ白なタブレットの手に取った。

 それはこま専用のタブレットだった。

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