山_6
「はぁ、はぁ、クソ、邪魔だ!」
前方を塞ぐセルリアンをライフルで撃ち、走る。
格好つけてサーバルを先に行かせたが、マシンガンを撃ち尽くしてもセルリアンを倒し切れず、輝きを奪われる前に手榴弾でハンヴィーを爆破し、山の方へ逃げることになってしまっていた。
せめてもの抵抗として、山の周囲を回るように逃げてはいるが、それでも山頂の方へ追い詰められている。
「くっ、弾切れか…」
追いかけてくるセルリアンを倒していたが物量はなかなか減らず、ライフルの弾が切れた。
ライフルを背中に移し、ピストルをホルスターから抜く。
「うおっ!?何だ!?」
地面が大きく揺れ、バランスを崩して転んでしまった。
隙ありとばかりに飛びかかってくるセルリアンをピストルで撃ち、何とか立ち上がる。
山の方を見ると、黒い粒子の噴出が強くなっていた。
「大丈夫なのか、あれは…」
山頂の方へ向かったサーバルが心配だが、今はこのセルリアン達をなんとかしなくては。
「ああ、もっと弾を持ってくるんだったな…!」
ピストルも弾が切れた。
もう山の中腹を越えたくらいだろうか。
ピストルをホルスターに戻し、ナイフを抜く。
ここからは全力で逃げる。
が、すぐにアカガウに似たセルリアンが前方から現れた。
どうする?こんなナイフ1本じゃどうにもならないぞ…
何か打つ手は…
…一つだけある。後で博士達に怒られるだろうが。
弾の切れたライフルを構え、ポケットにしまったままだったマガジンをセットする。
コッキングレバーを引くと、ライフルが淡い光を放ち始めた。
「食らえ!」
改良型のサンドスター・バレットがセルリアンを貫き、虹色の軌跡が残った。
銃身は無事。オレもまだ動ける。
これで残る武器は本当にナイフ1本だ。
急斜面をライトで照らしながら、走る。
しばらく走ると、山頂の方から強烈な光が放たれ、視界が真っ白になった。
「ぐっ、今度は何だ…一体何が起きてるんだ!?」
何も見えず、足を止めてしまった。
少し経つと視界は回復し、空から降る黒い粒子は、虹色に輝く粒子に変わっている。
「なんだよ、アレ…」
山頂に目を向けると、虹色に光る巨大な結晶の塊のようなものが出現していた。
「!!」
「くっ!」
回転しながら突っ込んでくる三日月型の小型セルリアンをナイフで弾く。
衝撃は大きく、ナイフを持っていた右腕がビリビリと痺れる。
「しまった…」
足を止めた時間が長すぎた。
わらわらとセルリアンが集まり、囲まれてしまった。
「やるしかないか…」
囲まれた時の対処法は1つ。一点突破だ。
「うおおお!!!」
ナイフを構え、小型のセルリアンの割合が多いところへ突進する。
しかし、そううまくはいかなかった。
正直、セルリアンを舐めていた。
球体に触手をくっつけたようなセルリアンに攻撃され、身体が痺れて動けなくなった。
だらしなく地面に転がるオレを、巨大な腕を持つ黒いセルリアンが掴み上げる。
「ぐあああッ…!!」
強い力で握られ、骨がミシミシと音を立てているようだ。
その力がフッと緩んだ。
浮遊感。
直後、凄まじい衝撃が全身を襲う。
思いっきり殴り飛ばされたようだ。
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