サバンナエリア突入_7

 食事を終え、明日に備えて早めに休むことにする。


「結界は我が少し強くしておいた。大抵のセルリアンは入って来れぬから、安心して眠るがよいぞ」

<<万が一破られればサイレンが鳴る。しかし、何が少しだ…強度が数十倍になってるぞ!?>>

「我からしたらほんの少しじゃよ。なに、ヒトの手でこの結界を作り出したことを誇るがよい」


 デバイスを見て驚愕するルイスを尻目に、スザクは高笑いをする。

スザク達四神が本気を出せば、現在もドス黒い粒子を噴き出し続けるあの火山も止められそうな気がしてきた。


「各員、十分に休んでおけよ。明日は朝一で出発するからな。隊員達は、一応すぐに戦闘ができる状態を維持すること。スザクの結界を疑う訳ではないが、用心はしておいた方が良いだろう」

「了解!」

「では、『てんと』とやらに案内せい!」

「キョウ、頼めるか?」

「了解。スザク、こっちだ」

「うむ!」


 スザクがちょこちょことついてくる。

こうして見ると、無邪気な普通のフレンズにしか見えないのだが…

口に出すとお説教タイムが待っているので、そっとしまっておく。


「これがスザクのテントだ」

「これか?あの大きいのではないのか?」

「あれはサーバル達が一緒に使うやつだな。これはスザク専用」

「我もあの大きいのが良いのだが…」

「1人あたりの広さは結構狭くなるが、いいのか?」

「構わぬ!我は普段南方の火山地帯にいるのじゃがな?そんなところを訪ねてくる者などほとんどいなくてな…その、誰かとお泊り的なやつをな…?」


 スザクの声がだんだん弱弱しくなっていく。

薄々そんな感じはしていたが、結構寂しがりやのようだ。


「わかった。じゃあ寝袋だけ持って行こう」

「うむ!手間をかけてすまぬな」

「これくらい大したことないよ」


 スザクは嬉しそうに寝袋を抱えて、大型テントへと向かう。


「おほー!何じゃこれは!?ふかふかじゃのう!」

「じゃあ、カラカル。スザクを頼むよ」

「神様とお泊りなんて、すごい体験ね…」

「そうじゃろそうじゃろ。光栄に思うがよいぞ!」


 上機嫌なスザクをカラカル達に任せ、自分のテントに戻る。

ライフルの簡易メンテナンスをしなくては。

ライフルを外し、マガジンを抜く。そしてコッキングし、チャンバー内の弾も取り出す。


「「お邪魔するですよ」」

<<邪魔するぜー>>


 博士と助手、そしてルイスがテントに入ってきた。


「ライフルの状態を見せるです」


 博士にライフルを取り上げられてしまった。


「おーい、メンテナンスの途中だぞ」

「製作者が見るより良いメンテナンスがあるのですか?」

<<そうだぜ。ちょっと待ってな、キョウ>>

「はいはい、わかったよ」

 

 反論の余地はない。反論の余地はないが、狭い。

博士と助手だけならまだしも、ルイスまでいるのは完全に定員オーバーだ。


「…せめて外でやらないか?」

「それもそうですね。つい熱中してしまったのです」


 テントの前で、再び3人があらゆる角度からライフルを観察し、ノートに何かを書き込んでいく。


「ふむ、問題なさそうです」

「概ね想定通りの状態ですね。キョウ、このまま使って大丈夫ですよ」


 助手の手からライフルが返却される。


<<メンテも今までのKM-23と同じでいいぞ>>

「明日はおそらく今日以上に戦闘をすることになります。しっかり休んでおくのですよ」

「では、あでゅー、です」


 博士達が去っていった。一応自分の手でもメンテナンスを行ったが、やはり既に万全の状態になっていた。

マガジンをセットし、コッキングしてチャンバーに弾を送り発射可能な状態に戻す。

ハンターセルとの戦闘で神経を使ったせいか、眠気が迫ってきている。

事前に隊長から伝えられた時刻にアラームをセットし、寝袋に入ってしまおう。

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