サバンナエリア突入_6

 テントが組み立てる間、リョウが夕食のレーションとジャパまんを温めてくれていた。


「ふむ、これは『れーしょん』というのか…」


 スザクは興味津々な様子でその様子を眺めていた。


「リョウ、テントの方は終わったぞ」

「ありがとうございます!こっちももうすぐ温め終わるので、皆さんを呼んできてもらえますか?」

「わかった」


 目についたフレンズと隊員達に声をかけていく。

サーバルとカラカルは、ルイスが何かの機械を弄っているのを眺めていた。


「サーバル、ご飯ができたみたいだぞ」

「はーい!」

「セーバルは一緒じゃないのか?」

<<ん?さっきまで一緒にいたよな?>>

「あれ?どこにいってのかしら…」

「探してくるよ。先にリョウのところに行っててくれ」


 セーバルを探して、テントの周りを練り歩く。


「セーバル?いるかー?」


 返事はない。どこに行ったのだろう。ご飯と聞けば飛んできそうなものだが。

少しテントから離れた場所まで来ると、セーバルの後ろ姿を見つけることができた。


「セーバル!夕食の準備ができたみたいだぞ!」

「………」

「セーバル?」


 セーバルに声をかけたが、無反応。様子がおかしい。


「セーバル!」

「!?キョウ?」


 近づいて声をかけると、セーバルは驚いたように振り返った。


「どこか具合でも悪いのか?」

「ううん、大丈夫。ちょっとボーっとしてただけ」

「それならいいが、どこか調子が悪いならすぐに言うんだぞ?」

「うん」


 返事をした直後、ぐぎゅるるる…とセーバルのお腹が鳴った。


「調子、悪いかも…おなかすいちゃった……」

「安心しろ、丁度リョウがご飯の準備をしてくれたぞ。それで呼びに来たんだ。行こう」

「うん!」


 セーバルはいつもの調子に戻っていた。

何でもないならいいが、少し心配ではある。


「ん、これはジャパまんの匂い!キョウ!早く早くー!」

「わかったわかった」


 セーバルがパタパタと走っていく。

あれだけ元気なら大丈夫そうか…?



「あ、セーバル!どこに行ってたの?」

「んー、これの練習」


 セーバルは周りの黒い粒子をキラキラに変えて見せる。

その範囲は少し拡大しているように見えた。


「相変わらずすごいわね…でも、1人でいなくなっちゃダメよ?」

「うん、気をつける」


 ぐぎゅるるる…とまたセーバルのお腹が鳴る。


「まあ、お話はあとにしましょ!私もお腹が減ってきたわ」

「では皆さん揃ったようですし、いただきましょう!」

「いただきまーす!」


 手を合わせ、食べ始める。


「おお!これは美味いのう!」


 スザクはレーションをもらっていた。


「リョウの作る料理はこんなものではないのですよ」

「何じゃと!?」

「セントラルに戻ったらスザクと我々にまた料理を作るです」

「ええ、いいですよ」

「本当か!?楽しみにするぞ!?」

「はい、お任せください!」


 スザクを利用し、博士達がちゃっかりリョウに料理をごちそうしてもらう約束をする。


「キョウ?どうかした?」

「いや、なんでもない」

「あ、わかった。ジャパまん食べたいんでしょ?」

「そういう訳では…いや、もらおう。ほら、これと交換だ」 


 セーバルから半分にちぎったジャパまんを貰い、代わりにレーションのおかずを

少し取り分けて渡す。

先ほどのことが気になって様子を見ていたが、やはり普段通りだ。

本当にボーっとしていただけだったのだろうか。

あの時に見たセーバルの様子がどうにも引っかかっていた。

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