ショッピングエリア_2

 アルパカ・スリのヘアカットか…

現状髪は伸びているというほどでもないが、そろそろ切っても良い頃合いでもある。

何より、フレンズがヘアカットしてくれるのは興味がある。


「時間はどれくらいかかるんだ?」

「15分もあれば、シャンプーまでできるよ」

「なら、お願いしようかな」

「了解した。じゃあ、ここに座って」


 用意された椅子に座り、カットクロスが巻かれる。

デフォルメされたアルパカのイラストが散りばめられ、可愛らしい。


「髪型はどうしようか?」

「そういうのは疎くてな…おまかせでもいいか?」

「了解した。そのまま目を瞑ってじっとしていておくれ…」


 アルパカが素早く、丁寧に、繊細にハサミを動かす。

これもフレンズの身体能力のなせる業だろうか。


「はい、もう目を開けていいよ」


 ものの数分でカットは終了した。


「すごいな、もう終わったのか」

「本番はこれからさ。さあ、こっちでシャンプーしよう」


 洗面台の前に移動し、仰向けになり顔にふわふわのタオルが乗る。

お日さまの香りというのだろうか、タオルからはいい香りがする。


「お湯は熱くないかな?」

「大丈夫だ」

「よかった。そのままリラックスして…」

 

 アルパカが髪を洗い始める。

優しい手つきが心地よい。

さらに、とても良いシャンプーの香り。


「かゆいところはあるかい?」

「大丈夫…」

「了解した」


 シャンプーが続けられる。

こういう感覚を夢心地、というのだろうか…




「お兄さん、シャンプー終わったよ」

「ん…?ああ、すまない」


 いつの間にか眠ってしまっていたようだ。


「疲れていたのかい?」

「いや、心地よくてついな…」

「ふふ、実はみんなシャンプーの間に眠ってしまうんだ。ちょっとした自慢かな」


 カットクロスのものと同じイラストが描かれたドライヤーで髪を乾かしながら、アルパカがほほ笑む。


「うん、できた。どうかな?」


 櫛で髪を整え、手鏡を渡される。

サッパリとした、さわやかな髪になっていた。


「ありがとう、ばっちりだ」

「ご満足いただけて何よりだよ。そうだ、まだ名前を聞いてなかったね」

「ああ、すまない。オレはキョウだ」

「キョウさん、ね。ちなみにキョウさんは、誰を探しているんだい?」

「サーバル達だよ。カラカルと、あとたぶんアードウルフが一緒に行動してると思うんだが。先に合流してるならセーバルもかな」

「なるほど…サーバル達は分からないけど、セーバルなら少し前にここを通ったよ」

「本当か?」

「ああ。あっちに歩いていくのを見たんだ」

「わかった。オレも行ってみるよ。ありがとう」

「見つかるといいね」


 アルパカ・スリに教えてもらった方向に進む。

もう移動してしまっているかもしれないが、運が良ければ会えるかもしれない。

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