ショッピングエリア_1

 とりあえず適当にぶらついてみる。

ぬいぐるみやキーホルダーのようなグッズから、チョコレートやクッキーなどのお菓子などがずらりと並んだお土産屋。

焦がし醤油のようないい香りが漂う屋台や、おしゃれな雰囲気のカフェなどもある。

フレンズが出しているお店もあるようだ。


「むむ、そこのあなた、お一人ですか?」

「ん?オレのことか?」


 声をかけてきたのは、大きな金色のタマゴを抱えたフレンズだった。

占い、と書かれた幕のついたテーブルが後ろに見える。


「私はダチョウ。見ての通り、占い師をしております。占い、やってみませんか?」

「へえ。ちなみに、どんなことが占えるんだ?」

「そうですね。オススメなのは…あなたと息ピッタリの、相性の良いフレンズを占ったりできますよ!」


 相性のよいフレンズ…サーバルやセーバルあたりが出てくるのだろうか。


「じゃあ、占ってみてもらおうかな」

「かしこまりました!ではこちらにどうぞっ!」


 テーブルの前のパイプ椅子に座り、ダチョウと対面する。

ダチョウはテーブルの上にタマゴを置き、手をかざす。よくある水晶玉の代わりがこのタマゴのようだ。


「では、いきますよ!むむ、むむむ…」


 ダチョウがタマゴをのぞき込む。

オレには曲面に反射して歪んだ自分の顔が見えるだけだが…


「むむ?むむむーッ!?見え…見えまし…た?」


 ダチョウの様子がおかしい。


「どうしたんだ?」

「それが…見えたには見えたのですが。その、私が全く知らない子が見えたのです。占い師として、フレンズはほとんどわかるはずなのですが」

「そんなことあるのか?」

「いえ、このようなことは初めてです…お力になれず申し訳ないです」

「いや、いいんだ…もう一つ、占いを頼めるか?」

「ええ、いいですよ!」

 

 いいことを思いついた。


「サーバルの居場所って占えないか?」

「ふむ、正確な位置は難しいですが、やってみましょう」


 再びダチョウがタマゴをのぞき込み、むむむー!と唸る。


「はい、出ました。これは…『気ままに行動するのが吉』ですね」

「えーと、どういうことだ?」

「無理に探そうとせず、このエリアを楽しんでいれば、相手の方からやってくるでしょう、ということでしょう」

「なるほどな。ありがとう、助かったよ」


 


 引き続き、ぶらぶらと歩く。

お土産屋。定食屋。屋台。それぞれ微妙に違う商品を取り扱っている。


「やあ、お兄さん。誰か探しているのかい?」


 通りかかったお店から、またフレンズに声をかけられた。

ふわふわもこもこのクリーム色の服を着たフレンズ。前髪で片方隠れているが、横に長い瞳が特徴的だ。


「まあ、そんなところだ」


 1人でキョロキョロと見て回っていたからだろうか。


「はぐれてしまった、という訳ではなさそうだね」

「ああ。さっきダチョウに占ってもらったんだが、この辺りを見て回っていればそのうち会えるらしくてな」

「へえ。彼女の占いはよく当たるよ。きっとすぐ会えるさ」

「そうなのか」

「ところで、急ぎでないなら私のお店にも寄っていかないかい?」


 フレンズはハサミを取り出し、チョキチョキと動かす。


「ここはアルパカ・スリの美容室。少し恥ずかしいけど、みんなの間ではカリスマ美容師なんて呼ばれたりもするんだ。もしよければ、極上の癒しを提供させてもらうよ?」

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