ジャングルエリア_15

<<よう、キョウ。ちょっといいか?>>


 リョウ達のところへ向かおうとしたが、ルイスに呼び止められた。


「ああ、大丈夫だ。何か用か?」


<<悪いニュースと良いニュースがあるんだ。どっちが先に聞きたい?>>


「…悪い方」


 悪い気分を引きずるのは嫌いだ。先に聞いておくに限る。


<<悪い方だな。実はオオイヌが1台行方不明になった。たぶんシステムエラーか何かで追従できなくなったんだろうが、シグナルも消えてどこに行ったか全くわからん>>


「捜索に付き合ってくれってことか?」


<<いや、違う。こんなジャングルで探すのは困難だし、特に危険物も積まれてないから、この作戦が終わった後にフレンズやスタッフの誰かが見つけたら回収することになった>>


「なら問題ないんじゃないか?」


<<それが、そのオオイヌ、お前のテントとか積んでるやつだったんだよ>>


「そういうことか。別に、このバスのシートとかで寝ればいいだろ」


<<待て待て、ここからが良いニュースの方だ。そういう訳で、お前にはサーバル達と一緒に大型テントを使ってもらう>>


「は?いや、いいのか?大丈夫なのか?」


<<サーバル達には了承済みだぜ。『キョウが良ければ大歓迎だよー』だってさ。よかったな>>


「…仕切りもあるし大丈夫か」


<<ちなみに俺らの意見もミライさん含めて『キョウなら大丈夫だろ』で一致した>>


「どういう意味だよそれ」


<<お前は変な気起こす奴じゃないだろ。まあ、ぶっ倒れるほど頑張ったご褒美みたいなもんだ>>


「そういうことにしておくよ」


 実際あのテントは定員を持て余していたし、別に並んで寝る訳でもないので問題ないのだろう。

改めて、リョウのところへ行く。


「リョウ、何か手伝うことはあるか?」


「ああ、キョウさん。うーんそうですね…じゃあ、このシチューを焦げないようにかき混ぜててもらえますか?僕はお皿などを準備しますので」


「わかった」


 先に手を洗い、大きな鍋をかき混ぜるリョウと代わる。

ほとんど具のないホワイトシチューだった。


「いやー、キョウさんが無事でよかったです。キョウさん抜きでは、セルリアンと戦うのちょっと怖いですから」

「残念、今はライフルがないから、もしセルリアンが出たらリョウに頑張ってもらわないとなー」


 少し意地悪っぽく言う。


「えー、あの二丁拳銃でパパッと倒しちゃってくださいよ!」

「あれかなり疲れるんだぞ?」

「だいじょーぶ!もしセルリアンが来たら、わたしたちがうみゃー!って倒しちゃうから!」

「実際、今回私達あんまり活躍してないしね…」

「トラ達、強すぎ。セーバルも修行しようかな?」

「バリーさんが元気になったら、みんなで一緒に修行しますか?」



「アードウルフ、その言葉を待っていたぞ!」


 背後から聞き慣れた力強い声が響き、アードウルフはビクッとするのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る