明日に備えて

……全隊員が泣いていた。


「なんて良い話なんだ…」

「ううぅ…尊い…尊すぎる…」

「俺、ジャパリパーク、ゼッタイマモル…ッ!」

「みなざんな゛らごの映画の良ざをわがっでいだだけるとおもっでまじたー」


「なんで自分で撮影した上に何十回も観てるミライさんまで大号泣してるのよ…」

「皆さんの友情や絆は何度観ても心を揺さぶられるんですー」



「サーバルさん達のことを知っていただくには丁度いいと思ったのですが、いかがでしたか?」


 ぐしぐしと涙を拭いてミライさんがゲン隊長に尋ねる。


「ああ、素晴らしい映画だった。皆の士気も上がったようだ。…一部の隊員の言語能力が追い付かなくなるくらいにな」


「それは良かったです。一応他にも『けもウォーズ2ダークカラカルの逆襲』なども用意していますが…」

「そ、それは観ないでおきましょう!?」


 カラカルが青ざめる。


「えーあれはあれで面白いのにー」

「正義の心に目覚めてダークカラカルを倒したメカカラカルが親指立てながら溶鉱炉に沈んでいくシーンは涙無しには見ていられないよね」

「ほ、ほら!映画2本立て続けに観てみんな疲れてるだろうし!明日からキョウシュウエリアに向かうんだから!今日はここまでにしましょう!?ね!!?」

「うむ、それもそうだな」

「では、本日皆さんに泊まっていただくホテルにご案内しますね」


(た、助かった…)

カラカルはそんな表情をしていた。


「これが当園自慢の、グランドジャパリホテルです!」

「全員分のお部屋を用意してありますので、ロビーでカギをお受け取りください」


「明日からはテントで寝ることになる。今日は存分に休んで英気を養おう!」

「「「了解!」」」


「3人で相部屋ですけど、サーバルさん達のお部屋もちゃんと用意できてますよー」

「やったー!流石ミライさん!」

「ふかふかのベッド…嬉しい」

「寝坊しちゃダメですからね?」

「しないよっ!…たぶん」

「私が起こすから大丈夫よ」


「それでは皆さん、ごゆっくりー」


 ミライさんと別れ、カギを受け取り部屋へ向かう。

ホテルも部屋も滅茶苦茶広い…

夕食は豪華で、大浴場もあった。


 まるで観光に来たようだが、明日からはセルリアンとの戦いが待っている。

なぜか支給された日記を書き、眠ることにした。

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