チート能力を手に入れたからって異世界生活を謳歌できると思ってたら大間違いでした
ゆーん
初めての異世界
「ん……ここはどこだろう……」
俺はは起きると同時にこの考えが頭に浮かんだ。
そこはいつもの慣れ親しんだ教室でも自室でもなく真っ白い空間だった。
「目を覚ましたようですね」
どこからともなく声が聞こえ辺りを見回す。ふと前を向いたら小学校4年生程の身長の女の子が立っていた。
「なんだこの幼女は……」
「幼女等ではありません!」
唐突に大きな声を出した幼女を見下ろしつつ、ここは何処だろうと考えてみたが全く検討がつかない。
「ここは天界です」
俺の頭の中を見透かしたかのように幼女は言った。
「天界……?」
俺は訝しげな目で幼女を見つめた。
「そうです。あなたは下界で交通事故に会い死んだのです」
俺はようやく思い出した。本屋に行った帰りにやけに飛ばしている乗用車にぶつかったのだった。事情を把握した俺は目の前の幼女はいったい誰なのかという疑問が浮かんだ。だが、
「私は幼女なんかじゃありません。あなたより少なくとも1000年
は多く生きてます」
憤慨した様子で幼女(?)は言った。
「君はそこで何をやってるの?」
俺はそう問いかけた。
「私はあなたのような事情で天界に来た者の後処理を担当している者です。あなたたちの世界の言葉で言うと……いわゆる神様という存在ですね」
「神様!?こんな幼女が!?」
俺は目の前の幼女が神様と聞いて驚いた。
「だから幼女ではありません!何度言えばわかるのですか……まぁいいです。それより……」
神様はそこで言葉を切り俺のことを見つめた。
「……?」
「あなたは元の世界に戻りたいですか?」
唐突にそう問われ俺は動揺した。学校では虐められてはないが特に気が知れた友達というものを居らずなあなあとした日々を過ごしていた。あの世界に戻りたいかと言われたら素直に頷けなかった。
「前の世界ではない世界に行くとかはムリかな……?」
これは俺の本音だった。どうせ世界に戻るのなら新しい世界でやり直したいという思いがあったからである。
「無理ということはありませんが……本当にあなたはそれでいいのですか?」
「……うん。俺はそれがいいんだ」
この時俺は別世界で新たな生活をすることを決意していた。
「分かりました。では不慮の事故で死んでしまったあなたに特殊能力を与えます」
「特殊能力!?」
俺は本日何度目か分からない大声を挙げた。特殊能力と言ったらラノベ等で流通している皆が羨む力である。
「欲しいです!お願いします!」
「そんな大声出さなくても……分かりました。ではあなたに力を与えます」
神様はそう言うなり俺の頭の上に手をかざした。
「はい。終わりましたよ」
「えっ、これで俺の体に特殊能力が備わったのか?」
特に体に変化が無いため俺は疑った。
「付いてます!試したいようなら…そうですねこれで分かりますかね……」
そう言って神様は手を振った。その直後眼の前に巨大な岩が現れた。
「うわっ!」
俺は思わず仰け反った。
「ほら。この岩を持ってご覧なさい?」
いや無理だろ……僕は内心そう思っていた。冗談半分って岩を持ち上げる動作をしてみた。するとふわっと岩が持ち上がったのである。
「えっ!岩ってこんなに軽かったっけ……?」
「それが特殊能力です!でもこれはまだほんの一部にすぎません。まだたくさん能力が備わっています」
この時俺は喜びを隠せなかった。これは俗にいうチート能力というやつだろう。早くほかの能力も試してみたくて仕方がなかった。
「ふふっ、ほかの能力も試してみたい様子ですね」
神様はそう言って微かに笑った。
「ではそろそろ行きましょうか」
そう言って神様はおもむろに立ち上がった。ついにこの時が来たのかと俺は決意を固めた。
「では準備は宜しいですか?」
「うん。もう大丈夫だよ」
俺はそう言って立ち上がった。
「では次の世界では死なないようにしてくださいね?もうここに来ないことを祈ってますよ」
神様はそう言って手を振り下ろした。唐突に出現したドアに俺はびっくりしつつもここが新たな場所の入口なんだなと悟った。
「では頑張ってくださいね!」
俺がドアを通り抜ける時に神様はにこやかに微笑み声をかけてくれた。
俺の異世界生活は今スタートした。
チート能力を手に入れたからって異世界生活を謳歌できると思ってたら大間違いでした ゆーん @yuuntaso1227
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