第2話
父が私を遠ざけようとしている事実は疑いようがありません。
私がそう感じ、母も兄も弟もそう確信し、父も肯定はもちろんですが否定もしませんでした。
それなら父は、私のことを一体どのように思っているのか。
その点に集中して、私は父をくまなく観察しました。
嫌っている。
そういった感じではありません。
自分にとって邪魔な存在だと考えている。
そんな心情とも違うように思われました。
そしてとうとう私は気付いてしまいました。
父はまだ幼少と言っていい年齢の私を、怖がっている、恐れているということに。
それが顕著になるのは毎年初夏のころです。
太陽が高くなり、まわりが夏に包まれ始めると、当然暑さがましてきます。
すると人間は薄着になります。
実は私は生まれたときから左肩に一つの痣がありました。
ハートが真ん中からギザギザに割れたもの。
デザイン的には完全にそれでした。
そしてその痣は、痣と言うにはあまりにもはっきりとしていて、初めてそれを目にした者はみな、黒いインクか何かで肌に描いているものだと思い込むほどに、くっきりとした痣なのです。
私が幼子でない年齢ならば、多くの人がタトゥーだと思ったことでしょう。
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