第11話 虫の知らせ

ケンカして別れるなんて最悪だ。もっと優しくすればよかったのかな?

なんて考えながら病院をあとにしようと思った瞬間..

院内アナウンス:緊急手術を行います。人数が必要なので手の空いている医師は協力願います。


急に院内の空気が緊張し始めた。


一瞬、凜に何かあったら..って思ったけど、もう関わらないって約束したし..

「まさか..そんなことないよな」って

言い聞かせて病院をあとにした。



組に帰る途中、蝉が死んでたのを見た。もうそんな季節かと思うと、何か寂しくなってきた。




組に帰ると、ヤクザたちに元気がなかった。ボスに理由を聞くと、とんでもない言葉が返ってきた。

ヤクザ「..凜が亡くなった」

「えっ?..嘘っだろ?」

ヤクザ「ホントだ。さっき病院から電話が」

「そんな..でもさっきまで元気にして....」

ヤクザ「泣くなレオ、病院行くぞ!」

「俺は行かない。約束したんだ。」

ヤクザ「レオ!凜の最期を見届けるのは仕事だ。約束なんて関係無い。」


ヤクザ「それに..レオに看取られたいって....死ぬ前に言ったそうだ。」



「そんなのあり得ない。だって..」

だって..凜は俺のこと嫌いだって......


ヤクザ「ごちゃごちゃうるせぇ。とにかく行くぞ!」





病院に着くと霊安室に案内された。


緊急手術は凜のことだったらしい。手術は成功していたらしいが、その30分後、眠るように息を引き取ったそうだ。




凜の死顔はとても綺麗で、まるで楽しい夢でも見ているような、そんな笑顔で..........。



凜を囲んで泣いていると、看護師が俺に手紙を渡してきた。

看護師「亡くなる直前に書いていたみたいです。」


宛先には【レオ】とだけ書いていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る