第4話「朝」
朝ーAM5:30。
(……そろそろ起きるか)
涼介は、ほぼ時間ピッタリに目を開けた。
涼介の朝は早い。
これは彼にとっての一種のルーティンのようなもので、よほどのことがない限り、決まってこの時間に起きる。夏休みであるこの日でも、それは例外ではないのだ。
(ん?)
布団から出るため上体を起こそうとした際に、涼介は違和感を覚えた。
……何かが涼介の脚を持っているのだ。
それが誰なのか、もう既に分かっていたが確認のため、バッと布団を捲った。
「うおっ……やっぱりか」
案の定、そこにいたのはゆうなであった。
涼介は少し驚きつつも、呆れるようなため息をついた。
ゆうなは、ピンクの可愛いらしい寝巻きを着て涼介の左脚を抱き枕のように抱えて寝ていた。
先程、布団を一気に剥がしたにも関わらず「すーすー」と変わらない穏やかな寝息をたてていた。
ゆうなは何かを抱えないと寝ることが出来ず、未だに小さい頃に買った抱き枕を使っている(らしい)。
(いや、でも抱き枕の代わりに足って流石に無理があるだろ……?)
「はぁ、これで2日連続か……。俺みたいな健全な男子にはキツいって……」
そう、実はゆうなが布団に潜り込むというのは、これが初犯ではなく既に1度あ・の・出・来・事・のあとの初日にやられているのだ。
その時はあまりの衝撃に大声を出してしまいゆうなを起こしてしまったが、今回はなんとか出さずに済んだ。
ーふと、涼介はゆうなの顔を覗き込んだ。
約2年ぶりとなる、妹の寝顔である。
(こいつ、寝顔は2年前と全く変わらないな……。いや、少しまつ毛や髪が伸びて、大人っぽさは増したか? 全く、雷が怖いとか言ってた時そっくりだよ。あの時は母さんよりも俺を頼ってたっけな……)
そして目線は自然と体の方に移っていった。
(……だけど、体は2年で意外と大きくなったんだよな。それに胸も思ったより、、、って何考えてんだよ、妹だぞ……?確かに、結構柔らかかった……ハッ!?)
そうして、しばらく悶えていた涼介だったが、改めてゆうなの寝顔を見て、こう小さく呟いた。
「お前、あれから大きくなったんだな……。こんなに可愛らしくなりやがって」
そう言ってから涼介は自身の言葉にまた悶えながらも、ゆうなを起こさないよう、そっと脚を引き抜いた。
代わりにと部屋にあったクッションを抱かせた。
それから部屋をあとにした。
〜ちなみに〜
後で起きてきたゆうなから
「兄さんに可愛いって褒められる夢を見たのっ!! 兄さん大好きっ!!」
と言われた時は
(……いや、まさかな?)
もしや聞かれていたのでは? と不安になった涼介であった。
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