愛しのメイリス殺人事件
@pkls
1
『ラ・プティット・プペ』
買ったばかりの、白のスポーツタイプのマクガーニ。
冴木はスマホを取り出し、メモ帳の画面を開いた。
□ピストル
□ナイフ
□睡眠薬
□ロープ
そこに、すばやく追記した。
□毒入りチョコレート
冴木は
通り沿いの桜が、芽吹き始めている。
ああ————。
冴木は白いクロコ調のハンドルを指で叩きながら、信号を待った。
火曜は忙しいというのに————。
とある邸宅の前で、冴木は車を止めた。黒の塗壁と茶色い木材が組み合わさった、箱型のモダンな造りの家だった。
冴木はミラーを覗き、〝うまくいく顔〟を作った。それから、助手席の紙袋をひっつかんで車を降りると、門柱のインターフォンを鳴らした。返事はなかった。
ああ、面倒くさい————。
冴木はアプローチを進んでいくと、ドアの前で背筋を伸ばし、叫んだ。「
返事はなかった。
「冨樫部長ー。冴木ですー。いらっしゃいますかー?」
冴木はドアハンドルに手をかけた。オートクローザー付き、キーレスタイプのスライディングドア。鍵はかかっていなかった。
「部長?」
ゆっくりとドアを開けると、中に男の後ろ姿があった。
男は振り返った。背が高く、険しい目つきをしているが、まだ若い、大学生くらいのように、冴木には思えた。
男の履いている、カラフルなスポット模様の入った、ライムグリーンの派手なスニーカー。
その傍らに、
冴木は視線を上げた。
男は、血にまみれた『それ』を手にしていた。
□ハサミ
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