砂糖菓子

PREラッシュ(活動休止中)

甘さをください

西暦2067年、仙台の地で戦争が勃発した。戦争が終わったのは2069年だった。

幸いにも伊達政宗の銅像と仙台城は戦禍を免れた。

かつて仙台駅であった場所に1人の若い男がいた。

男は無事に戦場から脱出できた。

他の生存者は何処にいるのだろうか?


かつて日本が高度経済成長の時代に下村治というエコノミストがいた。

経済成長は民間設備投資により促進される。だから設備投資は成長の必須条件である。問題はこの成長にインフレが伴うか否かである。限界需給比率が1・0前後にある時は、インフレはおきない事を下村は数値による経験から実証する。需給比率の定義から、この数値が1.0前後に収まる時には外貨不足も起こらない。

男はかつて大学で経済学を専攻していた。


「大岡忠相こと大岡越前のドラマを観た事があるか?」

男は腐れたパンケーキを食べながら隣の女に聞く。

「あるわけないでしょ。テレビなんてうちになかったもん」

「そうか」

腐れたパンケーキなんて食べたくない。

しかし今は飢えをしのぐ為に仕方なく食べている。

「腐れたパンケーキなんか食べるより砂糖菓子が食べたい」

女は男に言った。

男は女と別れる際に砂糖菓子を渡した。

「餞別だ。海外で食えよ」

女の頬に涙が一筋流れる。

「馬鹿。こんなものより好きなアーティストのCDとか指輪とかが欲しかったわ。砂糖菓子なんていつでも食べれるじゃない」

「今は腹を満たす事がさきだ」

餞別に砂糖菓子を貰った女は男と別れた。

彼女は今でも幸せに砂糖菓子を食べてるだろうか?

それが気になって仕方ない。






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